第39話エピローグ

 第1王女がリーバ王国の女王に即位する日、1人の女性がリーバ王国に家族と観光に来ていた。

「ねえねえ、人がいっぱいいるよ。お祭りみたいだね。」

「そうよ、今日はこの国に新たな女王陛下が誕生したの。その就任のお祝いなのよ。」

「ふーん。皆嬉しそう。僕あのお菓子が食べたい。」

「はいはい、ちょっと待ちなさい。」

「あらあら。マリー、あの子は私達が見ていてあげるわ。久しぶりにダンと2人夫婦で楽しみなさいな。」

「お母様、ありがとうございます。」

「母さん、ありがとう。さあ、マリー久しぶりのデートを楽しもうじゃないか。」

 笑いながら、マリーと手を繋ぎ歩いて行くダン。


 2人は別々に他国へと逃げた後、商会の会長となったダンと新聞記者となったマリー。

急成長したダンの商会の取材に訪れて2人は再会。もと男爵家一家と食事をする度にマリーはダンと親しくなっていき、マリーのアタックの末に結婚したのだった。

 マリーは自分の為に家を捨てて助けてくれたダンにもともと好意があったのだろう。


 お祭りにはミーナ率いる女性騎士団も警護に当たっていた。

「隊長、皆嬉しそうですね。」

「そうね、でも私達は楽しむより気を引き締めて警護しないと行けないわ。」

「隊長は何を書いているんですか。任務中ですけど。」

「これは、レティシア様は領地が遠いから来られないのよ。だからこの様子を書いて送ってあげるの。きっと喜ばれるわ。」

 気を引き締めて警護と言ったミーナだが、これだけ騎士団がいるのだから大丈夫だろうと、自分は必死になってメモを書いていた。


「カトリーナとレティシア様が俺を第1王女の部下に推薦してくれるなんてな。」

「良かったね、アレク兄さん。カトリーナはともかくレティシア様はなんでだろうね。」

「国の権力のバランス、だそうだ。相変わらず有能な方だな。」

「お礼にお祭りの特別販売品を包んで贈って差し上げないとね。こういうのがお好きらしいから・・・・・・。」

 せっせと限定品を買い集めているドレーブ兄弟だった。


 新しいリーバ王国の女王が、王宮から外に集まっている民衆達を見ていた。

「いよいよこの時がきたわ。この国を誰もが自由に職が選べ、努力が結果となって戻ってくる、身分など関係なく愛しい人に告白できる、そんな国へと私が変えていくのよ。」

 新しい女王を支える側近達は皆力強く頷いた。


 女王は立ち上がると側近を引き連れて、民衆に初めての演説をする為にバルコニーへ向かって歩いていった。


 乙女ゲームの映像では、今頃人質となり他国で過ごしていたはずの公爵令嬢達。王太子と結婚していたはずのマリー。王太子が王となり、王にはなれなかったはずの第1王女。


 映像とは全く違う結果となった未来。


 レティシアの努力から始まった小さな変化が公爵令嬢たちに影響し、映像を変えて自分達の夢と幸せを掴んでいった。

 王太子として試練を乗り越える努力をせず、変わる事のなかったエドモンド。マリーにも会えず、生死も不明、行方不明のままだった。


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乙女ゲームの結末にはさせない 小梅カリカリ @koumekarikari

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