Iūno
ʟᴇᴍᴏɴᴀᴅᴇ sᴀɴᴅᴡɪᴄʜ
6月18日
今日はリックの結婚式に行ってきた。あいつめ、あたしが見た事もないくらい、すっごく幸せそうな顔をしていた。ちょっと悔しい、悲しい。
今日はせっかくだし、あいつとの思い出を書き出してみようと思う。。
まずは出会い、、ってゆっても、あたしもあいつも覚えてなんかいやしないけど。あたしのママがいまの王女さまと小さいころから仲良しで、(なんで知り合ったのかとか学校が一緒だったのかとか、よく知らないけど、まあ同い年のオンナノコなんて数回顔あわせりゃ仲良くなっちゃうもんだよね。)そのおかげであいつとはほんの生まれてすぐのころからいっしょにいた。らしい。写真ならいっぱいあるけど、アルバム見始めたら朝になっちゃうからいまはやめとこ。
で、思い出。そんな大した事件とか、記憶に残るようななんかって、そんなにたくさんはないんだけど。いっちばん昔の記憶はあいつと見た海なの。笑っちゃうよね。おとぎ話じゃないんだから。ふつーはパーティーとか、家族旅行とか、そーゆうんでしょ?でもね、あたしの記憶は、あの海からはじまってるの。あいつの部屋のバルコニーから見える、水平線、はじまりの海、なんてね。あたしたちはどっちも、しょうもないくらい、あのバルコニーから海を眺めるのが好きだった。あたしあの城に住んでるわけじゃないのに、朝から晩まであそこに座って飽きることもなく、ずーっと海を眺めてた日とか、あったな。もちろん一人で出歩けるようになってからだけど。あと、あいつがいない部屋に勝手に入って、とかもしょっちゅうだった。あの海は、今でも好き。もう何年もあいつの部屋には入ってないけど、パーティーとかで城に行ったときは、あいつの部屋のちょうど真上くらいのテラスで、海を眺めるの。海ってね、いつみても、違うかおしてんの。あー、あたしもあの部屋に住みたいな。
そう、印象的な思い出。あたし、あいつが溺れてるのを助けたことがあるんだよね。あいつあんなとこに住んどいて泳げないとがマジ笑える。まあそれはいいとして、いつだったかな、ちょー月が綺麗だったことだけはおぼえてんだけど。あたしはたまたま夕食にお呼ばれしてて、突然城が騒がしくなったら、「王子の姿が見当たらない」とかゆうの。みんなバタバタしはじめちゃったから、あたしはとりあえずあいつの部屋に行ってみたのね。したら、窓が開いてんの。外覗いてみたら、海の浅瀬を沖に向かって歩いてるあいつがいるわけ。あたしびっくりしちゃって、何回名前呼んでも気づかないし、で、誰かに報告するのも忘れたまんま慌てて城の裏口から浜辺に出たの。なんで慌てたかって、あの海、いきなり深くなるからね。あの調子で歩いてったらあいつ溺れるぞ、って。なんか上の空に見えたし、あいつあの海のことよく知らないから。案の定、あたしが城から出たときにはあいつはもう浅瀬のギリギリんとこまで行ってて、名前呼びながらあたしが走ってくうちに足踏み外して溺れはじめて。あー、あれは思い出すだけで怖いな。マジ、砂と水に足とられながら、無我夢中で走ったもん。途中で着てた重いもん全部脱いで、あいつんとこまで泳いで、なんとか浅瀬に引っぱりこめたからよかったけど、あれどうかしたら死んじゃってたんだ、って考えると超怖いね。あたし、しばらく海入れなかったもん。あのときのあいつには、たぶんだけど、例の人魚さまの歌が聴こえてたんだと思う。なんか、ゆうじゃん、歌で誘惑する、みたいな。そう考えると不思議な運命だよね。本人は、全く記憶にない、何なら自分がなんで海に入ったのかも覚えてない、とか言ってたけど。
で、次に思い出深いのは、あいつが乗った船がひっくりかえったとき。ああ、あいつ死んじゃったんだ、って、死んじゃったらもうなんも言えないじゃん、って、ちょう塞ぎこんでたら、あいつがみつかった、って。あれ、アリーが助けてくれたんだってね。アリー。この前お茶したら、なんだかんだかなり気が合って仲良くなったけど、ちょっとジェラ。泳いであいつを助けるのはあたしだったのにーって、ちょっと思ったけど、まああいつが船乗るたんびにあたしもくっついてくわけにもいかないしね。それに、アリーにはほんと感謝しなきゃいけないし。あいつの命を救ってくれたってゆうことに関しては、あたしの恩人でもあるし、、って、なんかあたし嫁いびりしてるみたいじゃん?やめよやめよ。
でもね、今でも思うのは、もしあたしが人魚として生まれてたら、ってこと。あたし、小さい頃の将来の夢は人魚さまになることだったの。海をみるのも泳ぐのも、何に代えてもいいくらいに好きだったから。もし、あたしが人魚として生まれてたら、あたしはきっとあいつとは出会えなかったわけで、あの部屋からみる海の綺麗さを知ることもなかったんだろうな、って、そう考えると人間でよかったのかもしれないけど、でも、、って思っちゃうね。あいつはアリーが元人魚だからって結婚するわけじゃない、ってゆうのはわかってる、でも、アリーは人魚だったからこそ、あいつを助けられたわけじゃん。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけだけど、あのときあたしが助けてたら、って考えちゃう。想像すらうまくできないんだけどね。あたし、バカだからさ。ほんと、バカだから、なんでいまこんなに苦しいのか、とか、泣きそうなのか、とかよくわかんない。拭っても拭ってもあふれてくるの、昔だったらそれを止めてくれるのはあいつで、あいつはいつもあたしのことをみてくれてるはずだったたのに、なあ。
でも、あいつがアリーと結婚することになって、いちばん喜んだのは、たぶんあたしだと思うんだ。あいつ、アリーと城で会った瞬間に惚れた、とか言ってたしね。真面目な話、声が出ないあの子といっちばん懸命になってコミュニケーションとろうとしてたのはあいつだし、なんかパーティーのときは紫のウェーブヘアの女とも悶着してたけど、まあ、みんな在るべき鞘に納まった、て感じ?ほんと、幸せになってくれて、二人の幸せそうな顔が見れてよかったよ。
なんかめちゃめちゃ脱線した挙句、日記なのに今日のこと全然書いてないけど、いいかな。月もいい位置きてるし、明日はお見合いだし、もう寝なくちゃ。
Iūno ʟᴇᴍᴏɴᴀᴅᴇ sᴀɴᴅᴡɪᴄʜ @lemonadesandwich
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