第17話 服
レイティアの顔がみるみる赤くなる。チョr、いや可愛い。
「何言ってるの……。ありがとう」
レイティアは恥ずかしそうに笑顔で答えた。
「キヨも……。なんか独創的に格好ね。まず、服を見に行きましょうか?」
おそらく、文明が生まれてから、おしゃれというものは大なり小なり、どの時代にもあっただろう。
そこにはその世界、時代の実用性と流行が上手に融合し、おしゃれ文化を形成していくのだと思う。
つまり、この世界の事がよくわかっていない俺にとって、当然ながらこの世界のおしゃれは分からない。
俺たちは何か所か服屋を回った。
基本的には暑いこの時期は薄手の長袖Tシャツとスラックスがメインになる。
虫よけ、日よけのため、長袖は主流のようだ。
色は無地、単色もしくは絞り染めだ。
色々な色の服を俺に合わせながら、どっちがいいかな~? どれが似合うかな~? とまるで自分が服を買うかのように嬉しそうに選んでいる。
その楽しそうな姿につられたのか、俺も楽しい気分で買い物ができた。
とりあえず、自分の分をニ着分買い、レイティアに買い物に付き合ってくれたお礼に一着プレゼントする。
レイティアはプレゼントを断ったが、俺は熊が高値で売れてお金に余裕があること、今日の買い物のお礼であることを伝えた。
「何より、この服を着たレイティアとまた、一緒に街を歩きたいんだ」
「そ、そこまで言うなら、ありがたくいただくわ」
そう言いながら嬉しそうにはにかむレイティアが愛おしく感じる。
とりあえず、午前中は服を買っただけで終わった。
煮込んだ兎肉を歯ごたえのあるパンに挟んだサンドウィッチとポテトを揚げたものを買ってお昼にした。俺はコーヒーをレイティアにはブドウジュースも買っておいた。
パンそのものは硬いが、兎肉の煮汁が程よくしみて美味しい。欲を言えば、胡椒が欲しいかな。
塩も胡椒も貴重らしく、揚げたポテトにも塩がほとんどかかっていないが、揚げたてなので素朴に美味い。
「美味しいね、これ」
「そうでしょう、特にこの兎の畑屋のサンドウィッチはわたし、一押しなのよ」
美味しいご飯に上機嫌の可愛い女の子がいて、幸せな気分にならないわけがない。
その幸せな時間に土足で入り込む声が聞こえた。
「「あら~レイティアちゃ~ん。こんな所に居たの~?」」
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