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――ドンッ


 とある部屋の扉が勢いよく開けられる。そこには白夜、冥霞二人の艦隊の初戦闘を映像が流れていた。


「姉さん! なんなんだ、あれは!?」


 部屋の主であるクレセリアは優雅に突然の来客を迎える。


「なにって、どんなのかしら?」


「あの二人のことだよ! なんで最新鋭の戦闘機が出てくるんだ!? そもそも呼び出せるのは一人じゃないか!?」


「さっきの戦闘をあなたも見ていたのね。あれは私が選んだ駒よ。あなたもわかっているからここに来たんじゃないの?」


「あんなの呼び出そうとするのは姉さんくらいだ!」


「あらあら。でも、私が呼んだのは一人よ。黄丹白夜と昏鐘鳴冥霞の二人ではなくて黄昏冥夜として呼んだのよ。それに兵器の方は皆がパパが用意したシステムを使ったのだから不正のしようがないじゃない」


「――そうだな」


 クレセリアの私室を訪ねた若い男はしぶしぶ納得する。


「それより、もしかしてやられたのはあなたの駒かしら? 相手が悪かったわね」


「………」


 クレセリアは澄んだ笑顔で弟に言う。


「そろそろ最後の艦隊が送られて二十四時間経つわね」


「それがどうし――あれか!」


「そう。余興の一つとして転送するときに渡した端末に仕込んでおいたあれ。彼らがどう名乗るのか楽しみね」


「……そうだな」


「でも残念。可愛い弟たちの駒の一つがどう名乗るかがわからなくなってしまったなんてね」


 弟の歯を食いしばったような表情を見ながら微笑むクレセリアであった。

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