第46話 【深葬の唄】

めしべの御色直し

沙羅と風に妬く

然うして四重奏

季節は満ち欠け巡り

手の平還す


境界線 ふたりて介錯を

闇に掬いて御隠れに。


息を吹き反すおしべ

ずるり琉璃

ずる、と艷に気崩し

ぬらくら昏り苦楽くらり、

どろり澱みて融解す。


白檀の彷徨

燻るは灰の花

漆黒の緞帳 香りを遺し

白樺は柩の種火と



蝋燭一片 野菊一揃い

描かれる空洞のぬめ

嫋やかな 吐息

ぐうたらにのんべえ


輪廻の糸

道なりて満ちなり

締めつけるなり


我侭わがままえにしにしき

はくはくとふう


前科者にばつを下されば

しゃくりあげた身に

見い出したのは何であろうが。


一度ともしたら離れられない

羅針盤が指し湿しめらす。

徒花むだばなは白百合と狂い裂く




夕暮れの達観は

何時ぞやの菖蒲殺め

一夜ひとよ 一輪射いちりんさ

大輪の向日葵 傍らに

逝って終う そのひぐらし


透明な糸 結露の檻

交わり絡む縁の錦は

如何様にも文様を魅せ


二人羽織 くっついたから

暖かい空に先を望み

海に繋ぐ河で水切りし

7回飛んで消えた 約束

指切りげんまん


これは情と枷 寧ろ針の山

えん塒愚とぐろぐろく撒く

かえりうた 山海記三回忌



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