全ては繋がっている
宮蛍
それはどこにでもある物語
「……好きです。付き合ってください!」
放課後の教室、夕日が照らす誰もいない空間の空気を言葉が震わす。感情を、好意を、愛を告げる音が閉じた静寂の世界に波紋を起こし、聞き手と話し手、その場にいた双方の心を揺らした。
告白の聞き手である少女の顔は潮が満ちるようにだんだんと朱色に染まり、手は落ち着くことなくわちゃわちゃと動く。
動揺は、隠れることなく現出していた。
当然告白をした側も同じかそれ以上の羞恥の様子を見せていた。林檎のように真っ赤に染まった顔を俯け、カタカタと音が鳴るほどに身体を震わせている。その姿が、振り絞った勇気の大きさを象徴する。
沈黙が二人を包む。教室の中を静謐な空気が満たしていく。
六時を示す時計の時針が、カタンと音を大きく立てた。
そしてその音を皮切りにするように、
少女は桜色の唇を開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます