全ては繋がっている

宮蛍

それはどこにでもある物語

 「……好きです。付き合ってください!」

 放課後の教室、夕日が照らす誰もいない空間の空気を言葉が震わす。感情を、好意を、愛を告げる音が閉じた静寂の世界に波紋を起こし、聞き手と話し手、その場にいた双方の心を揺らした。

 告白の聞き手である少女の顔は潮が満ちるようにだんだんと朱色に染まり、手は落ち着くことなくわちゃわちゃと動く。

 動揺は、隠れることなく現出していた。

 当然告白をした側も同じかそれ以上の羞恥の様子を見せていた。林檎のように真っ赤に染まった顔を俯け、カタカタと音が鳴るほどに身体を震わせている。その姿が、振り絞った勇気の大きさを象徴する。

 沈黙が二人を包む。教室の中を静謐な空気が満たしていく。

 六時を示す時計の時針が、カタンと音を大きく立てた。

 そしてその音を皮切りにするように、

 少女は桜色の唇を開いた。

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