交渉3(デュノア視点)
薬師寺国王が親書に目を通す、しばらくの間、静寂が周囲を包む。 俺は呼吸するのも忘れて親書を読む薬師寺国王を凝視した。
「なるほど、戦争までの流れと経緯は理解はした。 親書を読む限りでは助けを求めるのもうなずける」
親書から顔を上げて、言葉を発した薬師寺国王の目は、初めに対峙した時の様な明確な敵意のこもったものではなくなっていたため、親書による効果は、少なからずあったと少しだけ胸をなでおろす。
「ご理解いただきありがとうございます。 現状は親書に書いてあることが全てですので、私が説明できることは、ほとんどありません。 ……それで、我が国を助けるための力をお貸しいただけますでしょうか?」
「助ける? 何を言っている? 確かに国の現状は理解した。 この戦争が王の意志ではない事も含めてな。 だが実際に我々の国が被害にあっているのには変わりは無いだろう? それと、この親書には謝罪と戦争に至った経緯しか書かれていない、アナタは言葉を飾るのが苦手と言っていたな。 それでは私も言葉を飾らずに率直に聞こう。 あなた方の国を助けたとして我が国のメリットはなんだ? あなた方の国は私たちに何ができる?」
薬師寺国王のその言葉を聞いて、俺は真っすぐに薬師寺国王を見据える。 ようやく本題を引き出すことが出来た。 舞台は整ったのだ。 自分の持っている選択肢の中で一番、薬師寺国王が興味を示しそうなカードをきる。
「国を……私たちのドワーフ国を全て差し上げます!!」
俺の、この言葉を聞いて薬師寺国王は、深く眉間に皺を寄せた。
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