初めてのパーティー3
加護なし? 加護無しとは?
「加護無し?」
「何よ、本当の事じゃない。 何か文句でもあるのかしら?」
俺が反応するとほぼ同時に、だから何だと言わんばりの態度をとられるが、俺が求めているのはそんな言葉ではない。 加護無しの意味が知りたい。
「いや、そうではなくてですね。 加護無しってどういう意味ですか?」
「そのままの意味でしょう。 大地の加護や 月の加護。 水の加護に 風の加護。 上げたらキリが無いけれどそう言った加護を生まれながらに持っていない者を加護無しと呼ぶのよ」
へぇ、初めて知った。 魔術による加護の付与ではなく生まれた時に既に加護が付与されているとかズルくないか?
「……加護無しってバカにされたら、普通は怒るところなんだけれど。 アナタは、よっぽどの世間知らずなのかしら?」
目の前のドワーフは俺の態度に肩透かしを食らったのか、呆れた表情を作った。 ひょっとして加護無しって言葉は差別用語なのか? だったら少しだけ態度を変えないと変に思われる可能性があるな。
「差別用語という事は知ってはいましたが。 他種族が我々を、どう思っているかなんて直接聞く機会は無いので知るはずないでしょう。 それよりも先ほどから意図的に俺を焚きつけるような発言を繰り返していますけど、アナタは何がしたいんですか?」
「別に、私は何もする気は無いわよ。 今回の同盟も王が決めた事。 私に決定権は無い以上、悪態くらい許しなさい」
目の前のドワーフ少女は今回の同盟に対して否定的なのか。 しかし、だからといって同盟国の人物に悪態をつくのはいただけない。 俺は流せるけれど、他の人が流せるとか限らないからな。
「まあ、大人なら思い通り事が進む方が稀ですし、せっかく私たちの国に来たんです。 どうです一緒に酒でも飲みませんか?」
ピキッと空気が凍った気がした。 何かしらマズイ発言をしたのだろうか。 ドワーフ少女はゆっくりと立ち上がり鋭い視線を俺に向ける。
「まさかドワーフである私に酒で挑もうなんて愚か者がこの国にいるなんて想定外ね」
何故だろう。 パーティーを楽しみましょうと含みを持たせて言ったはずなのに、目の前の少女からは殺気の様なものをヒシヒシと感じる。
「さて、それでは、勝負の方法は? 早飲み? それとも量?」
「ちょっと待ってください。 どういう事?」
「異種族がドワーフを酒に誘うって事は、すなわち喧嘩を売られたも同然。 でも安心しなさい、アナタが勝てば今の不敬な発言も流してあげる。 ただし、負けたなら私は大使としてそれなりの対応を取らせてもらいます」
何かとんでもない事になってしまった。 そんな常識を知らなかったと言いたいのだが言える雰囲気じゃない。 何より向こうは、やる気満々すぎて最早何を言っても無駄っぽい。 色々と諦めつつ近くにあった度数の高い酒瓶を開封した。
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