朝ー5
「菊池さん、何か問題がありましたか?」
コテンと首をかしげている椎名は本当に問題が無いと思っているようだ。 椎名の常識はどうなっているのだろうか。
「問題しかないぞ椎名、そもそも一晩中起きていたところで俺は寝てるんだから意味ないだろ」
「……その考えは無かったです」
なんでや!! とツッコミを入れると木乃美さんがクスクスと笑っていた。 おいおい、他人事みたいに笑っているがアナタも関係ありますからね。
今度は木乃美さんへ視線を合わせて口を開く。
「木乃美さん、その薬は聞いただけでも体に悪そうですが、副作用とかは無いんでしょうね?」
「もちろんありますよ、不眠症の状態を一時的に作り出し持続させる薬ですから体に良いわけがありません。 副作用としては効果が切れるまで体の疲労感、思考能力の低下などがあります。ですが後遺症は無いので安全ですよ」
木乃美さんは表情を変えないまま平然と言うが、それは安全ではないだろう。 この人の安全の基準はどうなっているんだ?
「一般的にそれは安全とは言いません。そんな危険な薬を使わせないで下さい」
「…ハイになれる薬と併用して使えば、少なくとも疲労感は感じないのですが」
「ダメです、椎名もそんなものを使おうとするな」
椎名はキッパリとダメと言っておかなければ、しれっと使いそうなので一応、釘をさしておく。 すると椎名の表情が少しだけ悲しそうな顔へと変化した。
「そうですか、残念です」
今の会話の流れでどこに残念な要素があったのだろか? 本気で残念そうにしている椎名を脇目にフライパンの肉を取り出して一口サイズに切って盛り付ける。
「椎名、コレ運んでくれ」
「椎名こっちもテーブルに並べて」
無言で料理を受け取る椎名は次々に完成した料理を並べていく。
俺が一品作っている間に木乃美さんは5品ほど作っていたらしい、相変わらず朝食とは思えないほど種類が豊富である。
料理が机の上に並んだら、あとは早い、神の恵みに感謝して飯をかき込む、食事自体は15分程度で終了した。
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