おくすりのめたね!

人生で初めて沢山の錠剤を呑む

不思議だ

これは風邪薬じゃない

これは体の病気のものじゃない

いや、睡眠欲製剤が入っているのだから人体の薬だ

あとは気休め程度の『心の薬』だ

心は体にあると何度も聞いた

体にあるから、体の疲労は心に響くという

眠れない、食べれない、感情が抑えられない

飲むたびに重圧を感じる

飲めば治るのだと思いながら飲む

だけれど、飲んでいるのだから治っている筈なのに

心が見えないから治っているのか分からない

いや、本当に精神を病んでいるかさえ分からない

重圧が精神に負荷をかける

それは全うなことなのだろうか

人の悪意を必要以上に感じる

人を殺さねばと考える

さみしい、さみしい、さめざめと泣いて

くるしい、くるしい、と泣きわめく

そして外を見ると『普通』が広がっている

『普通』を手に入れる為に薬を飲んでいる

分からない、『普通』を否定されたから気を病んだのに

絵本の『普通』は素敵だった

だから夢を見る為に薬を飲むのか

でも寝ても醒めても地獄だ

だから、薬を飲んでいる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る