レッドピル

大豆

序章

序章

『経験年数は?』

検事が言った。うら若い優男だ。

『11年とちょっとです。』

『それで主任ですか。凄いですね。』

抑揚のない声だった。

『主任と言っても介護施設には役職なんてほとんどないですから。主任なんて一般企業の係長クラスです。』

『大学を出て、何故介護へ?』

『ふふ』

俺は思わず笑った。

『なんですか?』

馬鹿面め。それは質問か。

『なんでわざわざ大学まで出て介護なんかへ、と言う質問ですか?』

『…ちゃんと答えて。あなたの人間性の精査をしてると思ってください。』

『わかりました。』

なにが精査だ。

『何故介護へ?』

『カイゴがスキだからじゃないですか。』


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