空飛ぶ四天王

襲来

 ファイアポートを通過し、フックリバーに差し掛かる時には襲来した。


 急に装甲車が停止し、車内は反動で大きく揺れた。僕は大きく息を吸い、体幹に力を入れて体を支える。他の面々はゴロゴロと車中を転がっているが、安定した僕の体は倒れない。


 しばらくすると、奥の方から車掌が体を引きずって扉を開け、悲鳴のような声を上げる。


「や、野郎ども……緊急事態だ…魔物の襲撃だ!」


 体を起こした面々が銃を手に取り車中から出た。僕も遅れてバットを手に取り飛び出した。


 横転した車が複数台、装甲車の道を塞いでいる。どうやら魔物の仕業のようだ。倒れた車の陰に魔物が潜んでいないか恐る恐る調べる。


 いない。


 装甲車の下か?いない。


 あれ?どこにもいない。辺りをキョロキョロと見渡したが、魔物の影が見えない。


 その時、大声で”上だ!“という声が聞こえてきた。僕が見上げると数匹の魔物が空を飛んでいた。


「フォフォフォ、魔剣士ローランよ…我は四天王が一人、バアルゼブブ。アスタルテとネビュロスの仇、討たせてもらうぞ!」

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