蠱惑的なイーストゴッドリバー
案の定、イーストゴッドリバー駅で乗り換えが発生した。
待ち時間の間もしつこく身の上話をしてくるコスプレイヤーに僕は心底うんざりしていた。
お
コスプレイヤーの話に嫌気がさして、あさっての方向に視線をやると立ち食い蕎麦屋が目についた。そういえば、少し小腹が空いている。
「立ち食い蕎麦屋か……戦いの前に腹ごしらえとするか。なに、心配するな。おごってやるさ」
僕はコスプレイヤーを蔑んでいたことを恥じた。彼は身なりは
でも、電車の時間がある。釣られてはいけない。あそこは魔のゾーンなのだ。
「なに、まだ時間があるさ。ほら、時計だと10分はある。蕎麦を掻っ込むくらいわけないだろ?」
確かにそうだ。僕はコスプレイヤーと共に蕎麦を頼む。
久しぶりの蕎麦だ。このかき揚げも揚げたてみたいだ。僕の体に力が湧いてくる。
「電車が到着します……ご注意ください」
あれ…電車が来ているぞ。なんでだ?
「誰もいないので発車します」
おい、ちょっと待って。そんな出発理由があるか!
僕たちを残し、電車は行ってしまった……呆然とする僕を尻目にコスプレイヤーがボソリと呟いた。
「…どうやら私の時計、時刻がずれていたようだな…」
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