可哀想な女性

「私は魔法使いのアヤよ。あなた、このあたりでは見ない顔ね。その身体つきからすると、戦士、かしら?」


 ここ一年で人の精神はおかしくなってしまったようだ。


 魔法使いという職業などありはしないし、戦士とかいう大雑把に一括りした職業もありはしないのだ。


 大体なんだ、戦士って。


 戦うことが仕事なら、喧嘩ばかりしている反社会的な奴らも戦士とかいう立派な社会人になってしまうじゃないか。


 このアヤとかいう女性も魔物の恐怖に怯え、精神を病んでしまったのだろう。


 自らを魔法使いと思い込み、現実逃避してしまったのだ。だから、魔物の変な手品を魔法と思ってしまったに違いない。

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