村翁と孫娘
自称そこそこ天才の家にてハイテクノロジー魔道具の講習が始まった頃、スバテラ村の村長の家では二人が膝を突き合わせていた。
即ち、村長とオーイの二人が話し合おうとしていた。
村長はシェリー=モリアーティーが眠っている間に快方に向かい、もう家の外へ出歩ける様になっていた。
「村長に、お話があります。」
他人行儀。当然、何時もなら決してそんな事を言わない。
「急に……いや……」
普段はそんな事を言わない孫娘の言葉遣いに最初はふざけているかと思ったが、直ぐにその考えを改めた。
自分が毒で倒れている間、孫娘は家に居ない事が多かった。遊んでいるかとも思ったが、ドクジーの一件ではどうやらシェリー=モリアーティーと一緒に居たらしい。
ここ数日の自分の孫の様子は今までとは少し違っていると思ったが、どうやら気のせいではないらしい。
「村長にお話ししておきたい事があります。」
「はい、なんでしょう?」
「シェリー=モリアーティーから連絡があって、本格的にこの村の復興をやってくださるという事でした。
中毒事件は解決しました。ですが森の怪物の噂やその原因は解決していません。
ここからシェリー=モリアーティーと自しょ…私達で復興と怪物退治を行います。
具体的な内容は言えません。ですから協力をして欲しいとは言いませんが、邪魔をしないようにお願いします。」
「……解った。」
「え?じー…いや村長、アッサリ納得してくれましたね?」
「どうせなら最後まで口調は崩さない方が良いですよ、オーイさん。
私はシェリー=モリアーティー嬢に救われました。中毒事件の濡れ衣を着せたにも関わらず、命懸けで救って下さいました。だから私は彼女に力を貸す事にしました。
私は大して力を貸せませんが、どうか、宜しくお願いします。そうお伝え下さい。」
「解りました……。」
呆気無いほど簡単に事が進んで拍子抜けだった。
「もう夜も遅い、終わったなら、寝よう。」
「うん。」
村長宅での議論は議論にもならず、呆気無く終わった。
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