会議は焦げそうになる
「面倒だな。」
「どうすれば良いでしょうか……」
「えーっと……あの……?」
自称そこそこ天才の家では二人が頭を抱えていた。
「連中、絶対に信じないだろうなぁ……」
「たとえ信じてくれたとしても……その後、どうしましょう?」
「二人ともー、何のはなしー?」
この問題の厄介な点は二つ。
一つ目。
『犯人を捕まえる事』。本当に殺意が飛び交うこのアウェイ環境の中、動かぬ証拠を見付けた上で、他の人間の追求をすり抜けながら犯人の元へと向かって、それを顔面に叩き付ける事が先ず難しい。途中で捕まるか、証拠を叩きつけた途端に周囲に捕まるかという問題だ。
二つ目。
たとえ状況を整えて衆人環視の中で推理ショーを繰り広げて犯人を証明出来たとて……だ。ゴリ押しして
捕まえられる事は勿論前提で、『捕まえた後で如何すれば良いか?』という所が大きな問題だ。
「絶対揉めるなぁ。」
「揉めるでしょうね。」
「どうしようか?」
「どうしましょうかね?」
「捕まえるだけ捕まえて仕舞い……じゃ信用は絶対にされない。されたとしても無責任だなんだと叩かれて吊るされる。
責任を取る理由も無いが、殴り倒して大人しくさせるのもダメそうだな……しかし、うーん……」
「如何しましょう?」
二つの頭脳を統合する事は出来ない。だからこそ複数の選択肢や考え、二つの頭脳が予期せぬものを生み出すことがある。
「ねぇ……あの………」
そして、孫娘は相変わらず放置され続けている。正確に言えば無視しているのではなく、二人共思考に没頭して孫娘が見えていない。
「………………………………………………………………………………………………」
「………………………………………………………………………………………………」
壊して何もかもを塵芥に変えるのならばそれは簡単。一部分、望む部分だけを壊すのは困難を極める。それを私は、よく、知っている………矢張り記憶の糸を辿ろうとすると頭痛が起きた。
「ちょっと二人共、私にも教えて!
今誰が何を起こしていて、これから誰が何を起こそうとしていて、二人共何をそんな風に考えているの⁉」
疎外感と沈黙の圧力に耐えきれなくなった孫娘が吠えた。
「ッ!」
「‼」
二人共完全に思考に徹していた為、現実の不意な刺激に引き戻されて体を僅かに痙攣させた。
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