校外イベント説明会1
授業一つを丸ごと潰し、急に始まった校外イベント説明会。
目を丸くしたままの者、困惑して教科書を取り出してあたふたする者、不快感を露わにする者、ニヤニヤしながら説明を聞く者、ノートを取り出してメモする者、姿勢も表情も変わらず余裕な者、姿勢と表情を取り繕って余裕のフリをする者…………。
そして何か文句を言いそうな者も居る。
目に見えて違いが分かるこの風景は見ていて矢張り楽しいものだ。
「先ず、貴女達はこれから学園側が指定する場所にアールブルー学園の代表として向かう事になります。
招かれた客人でもなければ先方からの希望でこちらが出向く訳では無い事を決して忘れずに、肝に銘じるように。」
眼光が一層鋭く険しくなる。
置かれている状況が解らない者が冷静になり、余裕を装っていた者達は真面目に話を聞く姿勢になり、文句を言おうとしていた連中は完全に心を折られた。
まぁ、もしかしなくても自分達は招かれる側、笑顔で迎えられる側、もてなされて当然の側だと思っていた連中が大半だ。
淑女側が意図している内容からして、そこで躓かれてはもう打つ手無しとなる。
まぁ、この程度で如何にかなるならばここまで来ていないという話だがね。
「それでは説明をいたしましょう。
先ず、貴女達は各々一人でこちらが指定した村や町に行って貰います。
期限は三か月間。こちらから話を通してありますので最低限の住居は確保してありますから、
町や村…というフレーズから大都市ではない事が確定し、住居指定。
三食保証され、食べる事の苦労を見た事さえ無い連中からしたら中々に絶望的だ。
「シェリー君、何か思うことは在るかね?」
「屋根だけあれば問題ありません。最悪場所さえあれば野宿でも対応出来る様に。」
「ウンちょっと待ってくれないかね。流石にそこまで非道い事は無い!」
かの淑女は
ここはただの学園ではなく貴族令嬢の集う学園。ある程度の政治的な力を持った組織ではある。
実際に学園長が決まった時の足の引っ張り合いは政治的な判断もある程度絡んだが為にかの淑女がああして大層な肩書を持ってこうして突拍子も無いイベントを企画している。
たかが一町村程度は恐れ戦く。下手に無礼をすれば親が出張って難癖を付けるかもしれない。最悪言いがかりを付けて
無下に扱えない。無論学園長から釘は刺されている事は目に見えているが、それでも出来ない。
一体全体どうしてそんな発想に至ったのやら。
「あれ、違うのですか?てっきりこの前の術式は野宿に使う為に用意していたのかと………」
おっと、犯人が分かってしまった。これは迷宮入りさせよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます