コズマ=ボンノーの伝説 4章

 『農家』の手下3人

 『行商人』の手下3人

 怪物1人


 三者は正三角形を描くように立つ。


 怪物は直ぐに何も考えずに動き出す。自分の五感が捉えた生き物に無差別に襲い掛かる。

 両の手下は守るべき頭目ボスの前に立ち塞がって考える。怪物か、敵か、先に刃を向けるべき相手はどちらか?どちらがより危険で恐ろしいか?

 怪物が最初に向かったのは『行商人』。手斧と丸盾・ヌンチャク・長刀なぎなたを持った三人へと素手のままずんずん最短距離を詰める。

 素手と武器ではどう考えても武器が有利。

 一対三では当然三が有利。

 素手の間合いは遥か彼方。リーチを活かした長刀なぎなたが足を刈るように横薙ぎにした、のだが、ガチィン!という固いものと金属がぶつかり合う音がして、長刀なぎなたは先端の刀部分がぼっきりへし折られた。

 「⁉」

 長刀を持っていた手が一気に重くなり、抵抗すると呆気なく軽くなった。と思ったら長刀の首から上は食い千切られた様に無残を晒していた。

 「⁉」

 足を切り落とそうとしていた長刀が完全に見切られ、歩くついでに長刀を踏み付けられ、そのまま山道で足元の枝を折るように長刀をへし折っているように見えた。

 「⁉」

 素足で飛んでくる刃物を踏み折るなんて真似を見たとしても、それを信じる事は難しい。

 「うぉ…」

 それは現実だったんだ。でも反応が遅かった。折れた長刀を掴まれて、長刀諸共体がふわりと浮き上がる感覚に襲われて、次の瞬間体が一気に重くなり、体の左半分が何かにぶつかって意識が持っていかれた。


 怪物が一人目を潰す。が、二人目以降は悠長にその列に並ぶ気は無い様だ。

 「『爆炎球』食らいなさいな。」

 『農家』の手下の一人が拳サイズの紅色の光弾を背後から怪物に飛ばす。

 その正体は熱。しかも着弾と同時に爆ぜて周囲に爆風と火を撒き散らす上にもう一つおまけで厄介な使い方が出来るおよそ対人向けではない魔法だ。

 「『石弾』準備完了。」

 もう一人の手下が自身の周囲に飛礫を飛来させて待機している。

 「爆裂したら直ぐに撃ち込んでくださいな。あの人、とっても怖ーいみたいだから、念入りにね。」

 背後から無音で迫る爆弾に怪物は気付いていな…気付いた。

 『行商人』の残った手下二人が怪物と対峙する中であれ・・に気が付いて、その表情に気付いて怪物がこちらを向いた。

 「『起爆』もう遅いから、諦めなさいな。」

 爆炎球は直撃させる事で火傷や窒息を狙う事が出来るだけでなく、任意での起爆が出来る。直撃より威力は減る代わりに目を潰す事が出来る。


 爆炎と光が倉庫に居る人間の目を目を焼いた。

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