枯れ果て、切り捨てられた樹形図の考察と、未来の樹形図の考察
在り得ざる喪われる未来の考察の為の、喪われた過去に在り得た未来の考察
『樹形図』というモノを御存じかね?
別に難しい数学の質問では無い。要は単純な確率理論を視覚化した図だ。
例えば、『すべて違う色が付いたボールの入った1と2の二つの箱が有り、そこから順番にボールを一つずつ取り出したとする。
1には2色。2には3色入っていた場合、引く時の色のパターンは何通りあるか?』
この場合、1の箱から取り出す色のパターンは2通り。2の箱から取り出す色のパターンは3通りある。
1の箱のボールを赤青の2色。
2の箱のボールを黄緑紫の3色とした場合。
『赤』を引いてその後『黄緑紫』を引くパターン3通り。
『青』を引いてその後『黄緑紫』を引くパターン3通り。
2×3で6通りのパターンが考えられる。
図に表すと。
⎾黄①
赤-緑②
⎿紫③
⎾黄④
青-緑⑤
⎿紫⑥
この通り。6通り実際にある。という事で、
A.6通りのパターンが有り得る。
単純な確率の問題を考える上で、どうにもならなくなった時にこの方法は役に立つ。
が、それはあくまで単純な、学校の先生が解ける様に作った問題に限ってこの方法は使える。と言うだけ。
これを現実的な、机上では無く実用において使う事は困難を極める。
例えば、箱を持って来た人物がうっかり中身をぶちまけて適当にボールを箱に入れてしまった場合。
中身が解らない事前提で先程の問題を解こうとすると5つのボールを2つの箱から引くので、1箱目から5つ。2箱目から4つで20通り………では無い。
1箱目に全てのボールを入れてしまい、2箱目にボールが入っていない場合。
途中でボールを一つ失くしてしまった場合。
途中でボールの色を変えた場合。
ボールでは無く手榴弾が入っていた場合………………………。
最後の一つは有り得ない?
いやいや、状況次第では考えられるとも。
このボールクイズにおいて、自分で指定した色を引けた場合に100,000,000の財産を貰える場合。
胴元が気に喰わずに吹き飛ばす可能性も有り得るんだ。
な?
この世界を樹形図で表した場合、別の可能性を実体験する事は無いし、そもそも、実用では何の変哲も無い要素が生み出す確率が後々大きな変化をもたらす場合もある。
今言ったボール引きも、最悪のパターンでは死んでいる。
たとえ、朝家を出る時に右足から出るか、左足から出るか程度の差異であっても、その結果として道中石に躓いて転ぶか転ばないかの
そして、転んだ事で、乗る筈だった鉄道に乗り遅れるか否かの
そして、乗れなかった事で、乗る筈だった列車で鉄道事故が起こり、生きるか死ぬかの
歩き出す足一つでこのザマだ。
だが、前も言ったが、『たら・れば』の話は本来無駄でしかない。
生きていたら………死んでしまったら最早如何にもならない。
が、敢えてここは在り得ざる現在の話をしてみよう。
可能性として在り得る、数多の樹形図の望む一つの未来を掴むために、失われた未来を計算する事は、これからのシェリー君に必要になるさ。
まぁ、望まぬ未来なんて、全て地獄だがね。
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