月の元の教育者
私としては少し面白く無い事に全員生き延びて無事活動しているそうだあの連中!
「元学長は表での立場を失ったものの命を得た。
傭兵達、三人組は新たな仕事を得た。
5人組は命を拾った挙句、新たな人生を得た。
それで、君は一体何を手に入れたのかね?
立て籠もり犯に人質にされ、彼らをまとめ上げて不正な金品を得たものの私物にはせず、粉骨砕身の結果、得た物は無い様に見受けられるが?」
そんな私のクエスチョンに対して悪戯っぽく笑ってシェリー君は答えた。
「『俺の名前はエーって言うんだなぁ。』『名前はゲージだにー。』『ぬぅ、ハーンだ。』『ねぇねぇねぇ、僕の名前はデルビスタって言うんだ。』『そう言えば名乗って無かったのー。ファルツだ。宜しくのー。』
『レンって言うッス!宜しくっス会長。』『オーイ、はしゃぐなよレーン。あぁ、俺はジャリス。ま、それなりに頑張らせて貰うさ。』『トーォォォォりアエズっ!私はマダム=マームと御呼ビなサいっ!』
皆さんと知り合って、名を教えて貰いました。
私にはそれで十分です。」
左目を軽く瞑りながらそう答えた。
これは別に、『手駒が増えた。』だの、『
お人好しと言うか、欲が有るのにも関わらず無欲が多いというか………シェリー君らしい。
そんなこんなで、新しい学園がお披露目され、あれやこれやの事件が過ぎ去っていき、我々は特に変化無く、伏魔殿の学園で何時も通りの生活を過ごしていく……………………。
「私は金をバラ撒いて媚を売れと言いましたか?」
椅子に座りながら手を組んでいた。
月が輝く真夜中、ランプの光が瞳に映し出される。
その目は刀の様に鋭かった。
「いえ……滅相も無い。」
机の向かい側で威圧された男が縮こまりながら機嫌を窺う。
「私は、『この学園の生徒が淑女を意識し、学園を出ても淑女として在れる様な行事』を要求しました。
その結果が………寄付を募って貧困地域や孤児院への寄付……ですか?」
侮蔑と憤怒を帯びた視線に男が震え上がる。
「申し訳有りません!直ぐに代替案を!」
「結構です。こうなる事は目に見えていましたので、こちらで用意しておきました。」
そう言いながらミス=フィアレディーは書類の束を机に出す。
「これ………は?」
「教師陣に周知なさい。
我々が淑女たる為に、これは必要な事です。」
「ですが……生徒の親から抵抗が………」
「そちらには手配済みです。
快諾して頂けました。」
男は『快諾』の言葉の裏に有ったであろう壮絶な謀略を想像しかけて……止めた。
「わ、解りました…。では、こちらを基に行事を組み立てて参ります。」
男は書類を手に取ると、シンプルで広いとも言い難い、学園の隅に出来た新しい学長室から出て行った。
「………………………………………何が起こるか………………。」
真夜中、月が輝いていた。
シェリー君はMMとの縁を手に入れたと言っていたが、それだけでは無い。
新しく建てられた宿舎。寝息を立てたシェリー君の部屋には今、大きめのバッグの様な物が置かれていた。
中身は既に分散して、然るべき方法で保存してあり、バッグの中身は殆ど空だ。
「そうでもなくては、いざという時大惨事だからね。
特に、この学園ではつい最近、不審火が有ったんだ。万一
学園からMMの連中を逃がす際、車軸破壊や閃光音響爆弾に使用した分減っているものの、私達はあるものを得た。
そう、バッグの中身は『火薬』だ。
今まで設備と原料の問題で作り辛かった火薬が割と大量に手に入った。
具体的な量?少なくとも、元学長が同盟連中諸共証拠隠滅する為に用意した量だから………おっと、これ以上は何も言わんよ?
「………………………………………さぁ、何を起こそうか………………。」
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