熱風
「これで、5つ目。終わりだ。
さぁて…………凱旋と行こうかナァ?」
「気を付けた方が良いにー。
もしかしたらまたコイツが動き出す可能性もあるかもしれないからにー。」
「ぬぅ…………警戒をしておこう。」
「ねぇねぇねぇ、そこら辺に鍵って落ちてない?」
「おぉ、嬢ちゃんが探していたアレかのー。
どれどれ…………………うぅむ……無いのー。」
手足の鉄の棘をひん曲げられ、へし折られ、動きを止めた憐れな石人形を中心に男達が地面を探し続ける。
「鍵……ナァ?」
「そこらに無骨な棘は一杯有るんだがのー……」
「ぬぅ………それらしきものは無い…………………ぬぅ。無い。」
「ねぇねぇねぇ、どこかに有る筈なんだよ。
ここまで4つ、鍵が有ったんだよ?ここにも有る筈だよ?」
「今までも有った………そう言えばそれって何処に在ったかのー?」
「鍵か?それは確か、石人形の中とか、重要な物とかの近くに有ったんじゃないかナァ?」
「ぬぅ………ならばそこらの地面に落ちているという事は無いのではないか?」
「ん?そこのゴーレムの腹ん中。という事かのー?」
「大丈夫だよなぁ?
動き出して復活………なんて事、無いよナァ?」
「それは無いとは思うがにー。ここまで壊れたら、動こうにも動きようが無いからにー。」
「ねぇねぇねぇ、じゃぁ、このゴーレムを壊してみようかな?
中に鍵が入ってるかもよ。」
そう言って猫背が杖でゴーレムを突く。
コンコン
中に何かが詰まっている様な音が聞こえる。
「ぬぅ…………中に何かが入っている?」
「割ってみる?」
「一度、シェリー嬢の所に行って聞いてみるのが良いかもにー。」
「じゃぁ少し呼んでくるかナァ。」
そう言って長身痩身が出口の方に駆けていく。
「じゃぁ、残りの面子は」
「ぬぅ…探すと」
「するかのー?」
そう言って三人が広間を探し始める。
「んー…………ん?
ねぇねぇねぇ、コレ、本当に壊れてる?」
猫背がゴーレムを叩きながらそう言った。
「何か⁉動いてるのかの?」
そう言って小柄が猫背とゴーレムに駆け寄っていく。
「違う違う。なんか………変な音が胴体の方から聞こえてくるんだけど………」
「おーい!広間の扉が全然開きそうにないんだが、こりゃどういうことかナァ⁉
そっちにもう一体くらいゴーレムが隠れて………」
カチッ!
ゴーレムの胴体から鳴り響いた、部品が嵌る様な音。
猫背と長身痩身の言葉が掻き消され、5人の視界が一瞬まばゆい光で真っ白に染まり、爆音と瓦礫、そして少しの熱風が襲ってきたのはその後だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます