蚊帳の外の2人
「全く、騒がしい事この上ない。」
閉ざされた扉の方からドッカンバッカンバキバキガキガキ音と振動が響き渡る。
さぁて、シェリー君を出し抜いていった連中は今、何と闘っているのかね?
今までのゴーレムそれぞれ特色があった。
1つ目の広間で出会ったのは、地面の下の修復機構による自動修復機能にて破壊されても直ぐに修復する疑似的な不死身の軍団だった。
真っ当にやり合えば正に悪夢だったろう。実際。
2つ目の広間で出会ったのは、軽量化の為に全体を細くし、手足の石材だけ強度を増した速度特化型のゴーレムだった。
まぁ、先に足止めをしておいたお陰で脅威度は低かったものの、真正面から真っ当に相手をしていたら厄介この上なかっただろう。
3つ目の広間で出会ったのは、壁に擬態させた特大ゴーレム。
大きい事は、そこらの有象無象からすればそれだけで厄介だろう。
あの手の輩は質量という名の兵器。実際当たれば余程の
先手で内部に水分を仕掛けておかなければこれも困難だった。
4つ目の広間で出会ったのは、熱線という飛び道具を持ったゴーレム。
熱線は特に厄介………正確には火傷は厄介この上ない。何せ人体に対する熱傷の類には療法が存在しない。
薬を塗ったり包帯を巻いてはいるものの、アレは実際に治癒をしている訳では無い。
自然治癒の促進は有っても他の病気と違って自然治癒頼み。皮膚の大半を火傷すれば死ぬし、喉や鼻から熱気を吸い込めば、気道を火傷して呼吸困難で死ぬ。
まぁ、熱線であって煙や熱風で無かったことが幸いして他愛も無かった。
そして、5つ目。
壁の向こう側の騒音を聞く限り、金属がぶつかり合う音、そして巨大な振動と爆音。
石人形だけだと思っていたが、どうやら金属が使用されているモノも居るらしい。
ただ、全身が金属製では無く、一部や付属品としての金属製であろう。
先程から剣や斧で何かを叩き付ける様な音が聞こえる。それも、塊の金属では無く鉄柱の様な細い金属を叩き付ける様な音。
5人が相手にしているのは、石材の石人形に鉄の棘でも生やしている代物。数は一体。大きさは3つ目の巨大ゴーレムよりは小さいが、それでも十分な大きさを誇っている様だ。
確かに厄介そうではあるが、5人も居れば如何にかなるレベル。
だが…………………今までの傾向として考えてみよう。
4つの広間でロクでも無い目に遭って来たのに…5つ目がそんな簡単な障壁である訳が有ると思うかね?
無い、先ず無い。
善良な人間ならまだしも、明らかに侵入者を始末する気満々の人間ならば、もう一捻り、もう一厄介起こして何としてでも邪魔者を始末するだろう。というか、私であればもう7~8個、致死性高め(大型動物即死級)のトラップを仕掛ける。
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