省エネにて最善手
ゴーレムの熱線をゴーレムにぶつけてみたものの、傷が出来る様子や溶ける様子は微塵も無い。
まぁ、腕から熱線を放つ事が出来るのに、その熱線で自分が溶ける訳が無いのは当然だ。
余波の熱も中々高いから、胴体部分もそれに耐えられるように耐熱性が異常に高い材質だろう。
熱線を放つ時の余波で壊れる様子も当然無い。物理的に砕く事も面倒だろう。何より、熱線で高温になった石を素手で触れるなんて馬鹿な真似は願い下げだ。
さぁ、では次にシェリー君がやる事は……………
ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン!
ただひたすらに躱し続けた。
他の連中の熱線を躱し、たった一体のゴーレムの胴体に当て続けた。
このゴーレムも単純な法則でしか動いていない。熱線も直線でしか飛んでこない上、当然、同士討ちを防止する機能も搭載されていない。
躱す事も同士討ちも簡単に出来る。
しかし、矢張り傷一つ付かない。
それでもシェリー君は当て続けた。
「一体何をやってるのかナァ?」
「どうやって手伝おうかにー?」
「ぬぅ…しかし我々では邪魔に成るだけではないのか?」
「ねぇねぇねぇ、シェリーちゃんは僕達の為にゴーレムを引き受けてる…………の?」
「ふーむぅ………………そう言う事では無いんじゃないのかのー?」
無論、シェリーちゃんは迫る死神を必死で、やっとの事で逃れている訳では無い。
さぁ、問題だ。シェリー君は何をしようとしているか?
ヒントは、『さっき同じような手が使われていた。』だ。
「もうそろそろですね。」
「悪くは無いとおもうよ。
ただ、怪我をしないように。」
「大丈夫です。ここからは狙いません。」
そう言って熱線を浴びせていた場所に向けて
『水塊』
水の塊を投げつけると同時に他のゴーレムの背中へと飛び込んだ。
ジュ―…………バキッ!
後ろの方で水が蒸発する音が聞こえ、何かが割れる音が聞こえた。
あぁ、この石人形達の耐熱性は高い。真っ当にシェリー君が正面から加熱して溶解、破壊しようとすれば、あっという間にガス欠確定だ。
が、耐熱性が幾ら高くとも、温度差への耐性は別の問題だ。
熱せられた状態の物質表面が急激に冷やされる事で物質の外側と内側に温度差が出来る。そうして、それによって引き起こされた外側と内側の体積差は破壊現象を引き起こす。
こうやって…………ね。
盾にしたゴーレムから首を伸ばす。
目の前には無残に砕け散ったゴーレム、現瓦礫が散らばっていた。
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