巨人は令嬢に跪く

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


転んだ程度では矢張り傷一つ付かないか。

まぁ、問題あるまい。シェリー君にはこの程度の相手なら遅れを取らない様に仕込んである。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

ゴーレムが再度立ち上がり、動き出す。

「皆さん、作戦に変更は有りません。このまま行きます。」

「「「「「応!」」」」」

5人は答えてシェリー君の指示通りに再度動き出す。

動き出したゴーレムはシェリー君目掛けて懲りずに岩の拳を飛ばしていく。

右の拳、今度は邪魔が入らない。

『身体強化』

一瞬で跳躍し、拳の上にシェリー君が器用に乗り、そのまま腕を走り出した。

因みに、腕の上を走っている間、シェリー君は魔法を切っている。

省エネ運転でそのまま頭の方まで駆け上がろうとするも、左の拳が今度は迫って来る。

シェリー君はそれをギリギリまで引き付け…………乗っていた腕から落ちる。否、飛び降りた。

バキン!

ゴーレムがシェリー君を殴ろうとして誤って自分の右腕を自分の左腕で砕いた。

ヒラリ

シェリー君は見事着地。怪我も無い。

このゴーレムの動きの特徴は単純明快だという事。そして、思考パターンに関しても何度も言うが単純明快だ。

人間や生物と違い、自傷を自制する機能が無い。しかも動き出しが遅く、動作の途中変更や緊急停止も遅い。

要はギリギリでこちらが動きを変えれば、この人形を自分の好きな様に動かす事が出来る。

相手は腕を一本失い、性能が大きく減退した。

しかし、質量自体は未だ脅威。動き出されては厄介この上ない。しかし……………………

ゴゴ、ゴゴ、ゴゴ、ゴゴ、ゴゴ、ゴゴ、ゴゴ、ゴゴ………………………

ゴーレムの動きがぎこちなくなっていた。

足の関節部分がギチギチ音を立て……

ゴーン!

前のめりに転んだ。

石人形が転ぶとは中々な面白い光景だ。

「皆さん!有り難う御座います!」

シェリー君がその言葉を向けた先は当然あの5人。

ゴーレムの足元で5人は手を振っていた。

何をしたか?だって?

『足を折った?』

違うな。足の強度はこれだけの質量を支えられるくらいには有り、おまけに二本足で動いている不安定な大質量物体。そんなモノのバランスを下手なタイミングで崩せばあっという間に自分達が質量に圧殺される。0.1秒単位で指示できないこの状況下ではそれは自殺に等しい。

 では如何したか?タイミングをある程度操作出来る方法で足止めをしたに決まっている。

 ほら、有ったじゃないか。ある程度性質を知っておけば時間で作動する、関節を固められる物が持ち物に有っただろう?

 さぁ、なーんだ⁉

 ヒントは我々の持ち物!答えは次話に続く!

 さぁ諸君。己が叡智を結集させて考えたまえ。

 なぁに!誰だって考え着く、単純明快な悪戯だとも。


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