三姉妹は考える


廊下を走っても走ってもランプは追いかけて来る。

足元も道の先も真っ暗で、足元がおぼつかない。

階段を上がって撒こうとして、凍り付いた。

明かりが見えた。

上階からもランプを持った誰かがやって来た!

(上はダメ!下へ!)

(諦めますの?)

(流石にもう…………)

妹達が難色を示し始めた。しかし、

(駄目よ!ここまで来たらもう後戻りなんてするものですか!一度下の階に行って他の階段から昇りますよ!)

後戻りなんかするものですか!

階段を下りながら改めて決心した。


(下から明かりが!)


(廊下に明かりが!)


逃げても逃げても……行く先行く先に明かりが見える。

上下左右に下りて上がって真っ直ぐ走って……………………





「ゼェ、ゼェ、ゼェ………………」

「はっ はっ はっ はっ」

「ヒュー ヒュー ヒュー ヒュー…………」

三者三様に息切れしていた。

取り敢えず、追手と明かりは追ってこない。でも…………

(今、一体、何階、です……………か?)

(結構、上の方に来たと思うのですが………ランプ 明かり 点ければ………………良いのでは?)

(でも、それでは 追手に 見つかるの では?)

今居る場所が何処か解らなかった。

階段を上がって来たのは間違い無いが、ここが何処だか解らない。

(階段横に、階番号が……書かれていませんか?)

(階番号………姉様の頭の上では)

(上……………ありましたわ。)

そこには、『6』と大きな文字で書いてあった。

(嘘でしょう。未だ三階有るというの?てっき9階まで来たと思っていたのに………)

(どうします?もう引き返しますか?)

ケジメとは言ってみたものの、もう心が折れかかっていた。

セントレアも引き返そうというし、もう撤収しましょうか?

(では、今回は撤退するという事で………)(待って下さい姉様。)

私の言葉を遮ったのはミリネリアだった。

(私達、凄く上まで上って来た筈ですよね。6階。というのは考え難いですよね?)

(でも、そこに6と………)

(何だか上手過ぎでは有りませんか?)

(上手過ぎ?)

(先程から行く先行く先にランプの光が見えて、そして私達はここ迄走らされました。

ですが、おかしいですよね?夜回りの先生は一人だけ・・・・の筈。

しかし、私達は挟み撃ちされるようにランプの光に翻弄された事も有りましたよね?

おかしくありませんか?)

(………何が言いたいの?)

(ミリネリア、それってもしかして……)

妹二人は何かを察したらしい。が、私には一切見当もつかない。

(何?なんですか?私には見当もつきません!何故です⁉)

(姉様は知る訳無いですよ。)(何せこの魔法・・は姉様が居ない時に行った授業内容なのですから。)

(授業…………内容?)

((はい!私達は恐らく幻覚魔法の類で幻覚を見せられているのだと思います。))



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