嵐の前の出来事

「教授………………酷いで………ず。。。あんまりで!すぅぅ………………」


死にかけていた。


10人の格上相手に片手で連続勝負。


授業が終わる迄ずっと……………………


いやぁ、中々後学になった。


直近で役立つだろう。


「恨みますからねえぇぇ………」


今度からもう少し厳しめにするか………


「香水は持って来たかね?」


「えぇ、『それは』有り難う御座います。」


そう言って更衣室に消えていった。








あぁ、無論私は更衣室の外だとも。


サービスシーンなど期待してはいけないぞ。紳士淑女諸君&そうでない諸君。


と言うわけで、一緒に待とうではないか諸君。








ガチャン!!








おっと、中で何かが割れたみたいだな。


突入?待ちたまえ諸君。


大丈夫だ。


問題はない。








そうこうしている内にシェリー君が着替えて出てきた。


「割れたのは香水瓶かね?」


「……はい、申し訳有りません。」


今にも泣きそうな顔。


本当に申し訳無さそうな顔をするな。






香水瓶。


この前豚嬢を罠に掛けたときに探した野草と消毒液を併せて作ったものだ。


乙女の悩みに応えるべく、教授が一肌脱ぎました!


と、まぁ。それは構わない。


「別に構わない。また作れば良いさ。


中で起こった話は後にするとして香水は別のを今は使いたまえ。


…………次はどんな香水を作ろうか? シェリー君は何がお好みかな?割れたのは確か…」


「ハニーレモンと仰っていました。」


「よろしい。ならば…どうかね? 他の種類の香りを作ってみるのは?」


「よろしいのですか?」


「あぁ、無論。


あぁいうのは謂わば趣味の延長。


やっていて楽しくはあっても苦は無いさ。


無論、体を借りるがね。勉強は大丈夫かね?」


「はい!教授が教えて下さるお陰で、みるみる捗っています!


嘘みたいです!」


実は、今このモリアーティーは彼女の背後霊兼稀に憑依霊兼専属家庭教師なんかをやっている。


言語は大体マスターした。


魔法に関しても実戦は未だだが理論は理解した。


他の学問は上二つを理解した時点で何ら問題は無くなった。




特に数学は得意だとも。




魔法理論が関係する事もあるが、問題無い。


1つ変数が増えただけだ。




薬学や薬草、化学?


私の朧気な記憶に有る物と種類こそ違うが、人体構造は変わらず、法則は同様。


ならば困惑などしない。








と、言う訳で、彼女には家庭教師が憑いたわけだ。


今までのような修羅や羅刹のごとき鬼気迫る勉強を最適化したところ、彼女の時間は増え、スコアも伸びた。


今聞いた通り、平均的な評価は好評だ。


稀に剣術の様に不評なものもあるがね。








6限は終わり、食事の時間になった。








驚くほど静か。


驚くほど平和。(と言っても、周囲の目は未だ未だ酷く厭なものだが)


驚くほど大人しい。








脳筋はリタイアしているだろうが、ナクッテ嬢や剣嬢は同じ部屋で食事の最中。


何か有るかと思ったのだが…………








「ミス=ナークとミス=エスパダ。後程職員棟へ。


ミス=シェリーは私と来なさい。」


食事後にミス=フィアレディーが私を呼び出した。


剣嬢やナクッテ嬢とは別用で。






「………教授……?」


「問題無い。行きたまえ。」


シェリー君が他の令嬢の奇異の目に耐えながら不安そうにミス=フィアレディーの後に続いた。






さて、どうなるか?


否、どうするか?か。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る