第77話 和歌をもらう意味

『春立つと 風に聞けども 合格の 声聞くまでは あらじとぞ思ふ』


(暦の上では春が来たという噂を聞くが、合格したという知らせを聞くまでは、まだ春が来たと思わないでおこう)


あきらからの年賀状には和歌が一首だけ。

やるじゃん。古文のレベル上げてるわね。

でもこれ、何か見たことある気がする……。

本歌取り(元の歌があって、一部を使ってる、というかパクッてる)の技法かな。

でもこういうの貰うと、平安貴族の姫みたいで私は嬉しいな。


返歌は早い方がいいんだっけ?あれ…早い方がいいのは後朝きぬぎぬふみだっけ?

まあいいや、年賀状の残りに筆ペンで返事を書く。


『春立ちて とくる氷に 合格の 声聞くときは うれしからまし』


(春が来て氷が溶け、合格したよという知らせを聞いたらきっとうれしいだろうね)


歩いてポストまでハガキを入れに行く。

ラインは本当に便利だけど、手紙やはがきを受け取るのって嬉しい。

あきらからのこの年賀状は宝物として受験に持って行こうっと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る