蛸人間の密室
蛸人間
第1話
l「えー、今朝のニュースです。AB市の住宅街で男性の遺体が発見されました。警察によりますと、部屋は内側から鍵がかかっていて窓にも侵入した形跡がないということです。理由は明らかにしていませんが、自殺の線は限りなく低いと見て、警察は殺人事件として捜査を進めています。次のニュースです……。」
カタカタカタ......
真っ暗な部屋にキーボードを打つ音だけが響く。
また1人になってしまった。
この会社に就職してから1度も「お先に失礼します」なんて言ったためしがない。
この職場が嫌いだ。
あの部長が嫌いだ。
理由は……分かるだろう。(決して作者が理由を作るのが面倒とか、細かい描写が面倒とかそういう事じゃない。ないったらない!)
しかしまだ数ヶ月。今辞めたとして、次が見つかるのだろうか。
本当に嫌いだ。
いっそのことメ木几又su…
ダメだ。
必死に頭を振って邪な考えを追い出そうとするが、一度でも考えたてしまうと頭を離れない。
じゃぁ自分が…いゃ、それは勝手に死んだというだけになる。
部長は痛くも痒くもないだろう。
カタカタカタ......
再び真っ暗な部屋にキーボードを打つ音が響き始める。
時計の長針と短針が重なり合う。
「学生時代は良かったなぁ......」
この呟きは誰の耳に入ることなく、暗闇に吸い込まれて......
「っ!」
行かなかった。
そうだ。これだ。
10年前に休み時間に友達と考えた密室殺人の逆。
実行開始だ
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