47枚目 ある境界なき記者団の映像記録2

『JK』の右拳が決まった。


が、それとほぼ同時に『伯爵』のレイピアが彼女の身体を貫いていた。


「エリちゃーん⁈」


悲鳴に近い声を上げて『おっさん』が駆け寄る。


いや、皆が駆けてくる。


「ぐっ…は、伯爵、ウチらこれを読んだぞ」


『JK』は伯爵の執事が使い魔の烏に託した「ある書付」を、震える手で彼に向かって差し出した。


『伯爵』もおそれに震える手で受け取り、それを開く。彼の目が驚きの色に満ちていく。


「馬鹿な…何故このような内輪ごとを…!」


羞恥心のためか『伯爵」の頬が朱に染まる。


「内輪ごとじゃ…ないんだよ…もっと早く、言ってくれれば、ウチらは…人探しを、て、手伝ったのに…」


『伯爵』の手から「ある書付」がひらりと舞い落ちる。


それは風に乗り、剣聖たちの元へと飛んで行く。そしてそれは『黒の剣聖』の手へ収まった。まだ、目を通していない前線にいた者達が顔を付き合わせて書付を読む。


「なんと、そのような動機があったとはな」


『鬼』が悲しげな溜息をつきながらそう言った。


そこへ『おっさん』が到着した。


「エ、エリちゃん!しっかり!」


彼の呼び声に『JK』は口元を曲げた。


『伯爵』が慌てて彼女を大地に横たわらせる。


「す、すまぬ。私のかたくななこだわりが他世界までも破壊してしまった…」


「へへ…もっと他人を、頼っていいんだよ」


そう言った『JK』が横たわる大地が血に染まる。


他の皆も集まって来た。


「エリちゃん!ご、ごめん。何も出来なかった…」


「…いいって…おっさん」


管理局局長も遅れてせ参じる。

『おっさん』の涙が地に落ちる。


「死なないで、エリちゃん!」


そこへ局長がズバリと言ってのける。



「死なないだろ。そいつはレンタル・ボディだ」



全員が「あーそうだった」という顔をした。




しかしただ1人、職員Fだけが蒼白な顔をしていた——。

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