砂時計の真ん中には地雷が埋まっている。

二束三文で仕入れた地雷を仕込むのが好きだ。

効率だけを考えれば車両や戦車が吹き飛ぶくらい盛大なものの方が良い。

商売をするなら大物を狙うのが王道だ。


なのに、どうしてだろう。

小粒の獲物がうっかりと踏み、ばらばらになった死骸を集めてお金に換えるのが好きなのだ。

三時間をかけて100を超える地雷を仕掛けて、かかるのは一日に1つか2つだ。

一つの獲物を仕留めても珈琲一杯ほどの稼ぎにしかならない。

だが、忘れたころに仕掛けが炸裂し、たなぼたの様に成果が入るのが好きなのだ。


もし、大物を狩るための仕掛けを仕込んでも、かかるかどうかが気が気じゃない。

罠を仕掛けたようで、頭の片隅にトリモチの様について離れない。

その点、安物の罠は良い。

かかる方も、仕掛けたほうも、罠の存在が頭から消えてしまう。

罠は見えないのがウリであり、罠は無意識までストンと落ちるような重いものが良い。

それでいて脱臼する程度の威力で、罠が大したことがないと誤解させる程度だとなおのこと良い。

ぽかん、ぽかんとバランスを崩して、愚か者ほど顔面からキスをする。


誰もが自分の判断こそが正しいと思い、誰もが自分だけが気付けたと勘違いをする。

罠は油断ではなく、驕りに付け込んだ方が良い。

中途半端に賢い奴ほど、よくかかる。

ほら、貧しい奴はここには近寄らない。

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