小さな矢筒で十分です。

一流の狩人は矢筒に矢を入れすぎない。


必要な数をわきまえているから。

多すぎる矢は重りになるから。

大きすぎる安心は油断を生むから。


どんなに矢を持っていても、持つ弓は一つだけ。

放てる体も一つだけ。


絶対の信頼は、それを狩る目的と限度を知っていること。


獲れなかったことは、思慮が足りなかったのだ。

決して矢の数が足りないことではない。


獲れたのは、満ち溢れたからだ。

どれだけ減らせるのか考える必要がある。


3本の振れ幅がやがて1本になり、やがて定数になる。

美しさは洗礼された細部に宿る。


畑違いの誰かが上辺の知識でそれを指摘した。

古参の狩猟者はにっこりとほほ笑んでいた。

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