ごみ山で産声をあげて

目指すべき星がなければごみ山へ帰るしかない。

希望を抱かずに、飛べなかった鳥は巣で腐った。

たとえ、いつか死ぬとしても星にたどり着いた後で。

死は、必死に羽ばたいた鳥の死骸を求めている。

ごみは自然へ還すのに時間がかかるから。


循環する星のなかで人だけがごみを出す。

ごみは必要ではないもの。

誰にとっても必要でないものを生み出すのが人間だ。

ある畜産家が言った。

「羊は帝王切開してまで生かすものではない」

人の営みの尺度で救おうとした命も、実は脱輪した行いだ。

弱い、命。

必要ではない命は、ひとつもないとしても、死んでしまう命には意味はある。

ごみは意味を与えなかった時に生まれる。

死に近づくことで、生が輝くことは偶然ではない。


星を見つけること。

生きる意味を見つけることでごみ山から這い上がる。

たとえごみだったとしても、過去は関係ない。

生きていて、星を見つけられたなら、意味は芽吹く。

ごみの無い社会は、きっと良い社会だ。

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