蒼氷の吸血鬼~俺を討とうとした冒険団と共に依頼解決してたらいつの間にか国を救いし者たちと呼ばれてた~
松雨
第1話 異世界への転生
「はぁぁぁ…… 疲れた」
学校が終わった後、更に大学受験の為に塾に通い、それらがやっと終わって家に帰って来たのは午後11時過ぎだった。
「確か今日は…… よし!金曜日だから明日と明後日は休みだ!」
平日は学校と勉強に時間をとられ、趣味のゲームプレイに割ける時間など皆無だ。なので、1週間のうちにやってくる2日間の休みは俺にとっては何よりも嬉しいものである。
「さて、ゲームをやりますか」
軽く食事と風呂を済ませた後、パソコンの電源を起動する。
そして3時間後……
「よし。今日はここまで…… て言うか午前2時半!? もう日を跨いでるじゃねーか。またやり過ぎた……」
ひとたびゲームプレイを始めれば日を跨ぐまで夢中でやることが良くある。酷いときは一睡もしないでやることがある。その為、連続徹夜で去年体調を崩して入院したことが記憶に新しい。
「あの時は辛かったな……」
またやり過ぎて入院という事になってしまえばゲームが出来なくなってしまう。それに、あの時親が『次またこういうことがあれば今後一切禁止にする』と泣きながら言ってた時の顔が頭に浮かぶ。
「もう寝るか」
寝る準備を済ませて布団に入り、眠りにつく。
そして9時間後……
「ふぁぁ…… さて、早速ゲームを始めるか」
そう言ってパソコンの電源を起動させようとした時、スマホに電話が掛かってくる。画面を見ると、親友からだった。
「あーもしもし」
「やっと出たか
履歴を見てみると、1時間前に5回も電話が掛かってきていた。
「ごめんごめん
「相変わらずだなお前は。じゃあ今日の昼俺の家に集合な」
「了解」
(すっかり忘れてた……)
その電話の後、急いで支度をして裕也の家に出発した。その道中、約束をすっかり忘れていたお詫びに裕也の好きなケーキを買っていこうと思ったので、ケーキの美味しい店がある方へ寄り道をする。
「チョコケーキでも買っていくか。裕也あれ特に好きそうだったし」
去年の誕生日プレゼントに買ったチョコケーキをあげたら、涙を流しながら喜んでいたのを思い出していた。
と、その時上から凄い音がしたので見てみると、ビルの上から巨大な看板が
落ちてくるのが見えた。その落下先は……
「不味い!!」
考えるよりも先に身体が動く。落下地点に居た子供を突き飛ばし、代わりに自分が看板の下敷きになる。
「ぐっっ!!」
猛烈な痛みと共に、意識を失った。
そして次に目を覚ましたのは、1つの神殿がポツンとあるだけの不思議な空間だった。
「ここは一体……」
「この場所は『転生の神殿』です」
背後から声がしたので振り向くと、黄緑の髪、金色の瞳をもった女性が立っていた。
「転生の間ですか。 つまり俺は……」
「はい。看板の下敷きになってしまい、貴方は亡くなってしまいました」
うん。まあそうだろうな。あれだけの高所からの看板の落下を喰らえば死んでしまうのも納得である。
「あの、俺が助けた子供は無事でしょうか?」
「貴方に突き飛ばされたお陰で多少の擦り傷はありましたけど、無事ですよ」
それを聞いて安心した。これであの子供まで一緒に死んでいたら、完全に俺の行動が無駄になってしまうからだ。
「それで、俺はこれから一体どうなるのでしょうか?」
「貴方は前世で善行を積み、最期も善い行いをして亡くなっているため、特別に前世の記憶を保持したまま転生していただくことになります。それにあたり、何か希望があればその通りに致しますが、どうしますか?」
(つまり、俺が漫画の世界の登場人物になりたいと言えばなれ、ゲームの登場人物になりたいと言えばなれるのかな? いざとなると思い付かないな……)
少し考えた後……
「では、転生後の種族は『吸血鬼』でお願いします」
俺がハマっていたゲームに吸血鬼が登場していたのをふと思い出したので、そうお願いをする。
「その程度でしたら問題ありませんよ。あ、それと私から『魔法創造』『日光防御』のスキルを付与します。これで転生先でも過ごしやすくなると思いますが、デメリットも少なからずあるので注意してくださいね」
「本当ですか! ありがとうございます!」
俺の希望を聞き入れてくれるだけでなく、転生先でも過ごしやすくなるように強いスキルを授けてくれた事に対して感謝しかない。
「では、最後にこれから転生される世界について軽く説明を致しますね」
女性の説明によると、これから転生する『ファタノス』という場所は、俺の目の前に居る女神『エイティー』が創った世界で、魔法や精霊術・召喚術などが存在し、エルフやドワーフ、獣人などの亜人族、妖精、精霊と言った妖精族、竜や古龍と言った龍族存在する場所であるらしい。
「こんな感じです。質問はありますか?」
「いえ、ありません」
「それでは、神殿内部の魔方陣にお立ちください」
そうして、神殿内部の魔方陣の上に立つ。いざ、転生の瞬間が近づいてくると、緊張感が出てきた。
「雫水
そうして魔方陣が輝くと、俺は意識を失った。
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