第22話
「ああ。そういえば、レリの『聖なるちから』は相変わらずだぞ」
レリーナは『聖なるちから』で『何処に何の果実がたわわに実っている』などを夢で見るそうだ。そして目が覚めると、カゴを片手に獲りに行くらしい。
「最近では?」
「腹の中の子は『男の子と女の子』だそうだ。名前はリュオンとリュシーナ」
「・・・その名は何処からきたのか聞いてもいいか?」
「お腹の中の子たちと相談して決めたらしい」
「・・・
ナシードの言葉にシュリが「お前がミリィに持ってきた絵本だ」と言われて思い出した。小さな兄妹が母親のために色々なお手伝いをしていく話だ。
「レリの話では、ミリィがいつもお腹の子たちに絵本を読んで聞かせているらしい。それで自分たちの名前だと認識したようだ」
「・・・なんかスマン」
「イヤ。『ナシード』と付けられなくて良かったと思うことにした」
「おい。シュリ」
「そうだろう?叱られるんだぜ『ナシード』が」
「無駄に叱られそうだな」
「それはかわいそうだろ?」
「『かわいそう』の原因を作ってるのは誰だ」
「
「そうか。私か。・・・って、何故そうなる」
「ナシードの評価が
それはたぶん、シュリを揶揄うためにレリーナを口説いているからだろう。
「おかしい。私はいつも本気なんだが・・・」
「それがダメなんだろうが!レリは『
「『人妻を口説くのが悪い』というなら・・・今すぐ離縁してくれ」
「アホかー!」
うん。シュリは本当に
・・・今の私にとって、シュリの存在は心の許せる唯一の『親友』だ。
私の周りには同じ歳の者はもちろん、歳の近い者もいない。私の側近はすべて、八つ違いの
聖女の件でシュリの案を伝えてたところ、行き詰まっていた神殿から大変感謝された。それが功を奏して、各地の安全が守られるようになった。
『実績を残した』ことと各国から感謝を受けたことで周りから認められた。それまでは、私は『お飾りの
「皇帝の教育も受けていない役立たずは、ただ黙って
あからさまにそう決められて、疑問を口にすれば睨み付けるという『臣下としてどうか』と思われる言動を繰り返されていた。
そんな私が各国から信頼され、私を『新皇帝』として認めた。流石に、私に跪き感謝を口にする大使たちの前で、私を邪険に扱えなかったのだろう。
各国の大使が滞在している間に、私は側近たちを『
見下されて邪険に扱われている間に、時間をかけて探し出した。彼らは、『腐っていない者同士』で
そんな彼らを『私の側近』に選んだのだ。
『平民に務まるはずがない!』と見下して反対されたが、「貴族で仕事が出来ない者より十分役に立つ」と退けた。さらに『悪事を働き私腹を肥やしてきた』事実と証拠を突きつけると
事実を知った
「
従来なら処刑される行為だ。それと引き換えにするのだ。誰一人として異議を唱える者はいなかった。
そんな私に『親友』と呼べる者など出来なかった。だからこそ、シュリの存在は大きかった。
そして、レリーナもそのことに気付いている。そして、訪問を許してくれている。
いつか帝位を退いたら、この村で過ごしたい。そのために、この村を生命をかけて守ると誓った。
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