第2話 この世界の現実

  ある男がここ、更生施設「零札幌」に入所する事になる。


  彼の名は猫神壱ねこがみいち、北海道の田舎にある逆四天王の一家に生まれた。


  幼い彼は、逆四天王の子供なので逆四天王と呼ばれていたのだが、そんな事なんて何も気にせず生活を送っていた。

  小さな田舎町であったが幼馴染は沢山いた。四天王、ただの人、逆四天王な一家と様々であった。四天王な一家は逆四天王な一家と触れ合う事を極端に嫌う。


  しかし、田舎町なので子供達は遊ぶ場所が少なく、近所の公園に集まるので親の知らぬ間に四天王な一家の子と逆四天王な一家の子が仲良くなってたりもする。


  どうやって四天王、ただの人、逆四天王と決まるのかというと職業や学歴や通ってる学校、所属している団体で判断される。



  学力などが査定になる訳ではなく、勉強は出来ないけど、誰もを魅了する美貌を持ち合わせており、トップモデルになった者は四天王となる。


  その査定が毎年行われるのだが、逆四天王な者が四天王になる事などほとんど稀で、例え逆四天王から四天王になったとしても長くは続かず、再び逆四天王になる者が殆どであった。


  10歳になった壱はいつものように公園で遊んでいた。

  6歳の時からこの公園で仲良くしてる友達がいたからだ、同い年の長友弘ながともひろである。


  弘は四天王な一家に生まれており、親は有名な企業の社長であった。


 しかし、公園で2人が遊んでいた事は親たちは知らないでいた。


  そこから更に年月が経ち、14歳になった頃である。いつもの様に公園に行くが、弘の姿が見えない。

  今日はいないだけかと思い、その日は帰る。


  次の日、また次の日と公園に来るが弘はいない。

  会えない状況が続く。

  四天王な一家の弘の家に逆四天王な壱が行けるはずもなく、ただ会えるのを願うだけであった。




  とうとう1ヶ月会えず、ある日、親にお使いを頼まれた壱は田舎町に1つだけある駅に行く事になった。


  壱は頼まれたお使いを済ませて帰る時であった。




  駅の改札の向こうに見覚えのある姿がある。


「おーい!弘!」と大声で呼んでみる。



  弘と思わしき人が振り返る。




  やはり弘であった。


「おーい。どうして1ヶ月もいなかったんだ!?」


  すると弘は、冷たい目をしてそのまま、一言も話さずホームに消えて行く。


  この時、壱は初めて、四天王と逆四天王の差を感じた。

  そして、思った。



  これがこの世界の現実だと。

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