BREAK FREE
坂口航
結末は全て序章から始まる
――アイツは言った、『幸福が何かは人によるが、自分を不幸だと思っている奴が幸福になることは無い』と。
――あの人は言った、『信用したのなら、裏切られても文句を言うな。裏切られても良いから信用するのだ』と。
――あの男は言った、『大事な人がいるのなら大事にしないとな。その人の為に誰かを殺せるくらいに』と。
――あの子は言った、『力なんて無い方がいいのよ。でも、その力で喜んでくれる人がいるから、私はこの力を使うのよ』と。
――そして、彼は俺に向かって確かに告げた、『時間とは消費するものじゃない、進めるものだ。生きて行く中ですべき、最も大切なのは時間を、時代をどこまで進められるかだ』
この言葉が、俺を確かにここへと導いたのだろう。俺が成すべき事を見つけ出してくれたのだろう。
未だに悔いは残る。もっと方法があったのではないかと思い返す事もある。
だが確かに決めたのだ、俺はこの道を行く事を、そして正しく力を使う事を。誰かの為に使う事を。
臭い事を言ってる自覚はある、少し恥ずかしい気もする。それでも言わなければ、思わなければいつか忘れてしまう。
時間の波に呑まれてしまうと、そのまま歴史の大河深くに沈んで行ってしまう。
だからこうして再び思い、心で高らかに宣言するのだ。
俺が成すべき事は、生涯の全てを使ってすべきこと、それは――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます