異世界編
世界三大〇〇
第1話 東京異世界ランド
アイリスの部屋にずらりと並ぶ本の整理を手伝っていたしいか。
ラノベに強い関心を示した。
「アイリスはジェスワッサー王国にいるときから日本のラノベのファンだったの?」
「ええ。いつかは私もラノベ作家になりたいわ!」
「ラノベ作家?」
「日本に来たのは、それが目的と言っても過言じゃないわ!」
「えっ? てっきりマスターと暮らすためかと思ってたわ」
「ふふ。そういう意味では、マスターとの縁を取り持ったのはラノベかもしれない」
「ラノベが、アイリスとマスターの縁を取り持つ……。」
しいかには、ラノベがアイリスと太一の縁を取り持ったというのが、不思議で仕方ない。
一方で、しいか自身は太一とどのような縁で結ばれているのだろう。
今こうして一緒に暮らしているのは、もしかすると単なる偶然かもしれない。
太一の側というのが、本当の居場所なのだろうか。
そんなことを考えていると、優姫が部屋に入って来た。
「今日のお買い物は、私としいかが当番よ」
「あっ、じゃあ今行く!」
しいかは優姫と一緒に買い物に出た。
過去の縁、将来の夢。
そんなことよりも今日の晩御飯である。
商店街の入り口。福引所が設けられていた。
優姫の手元には、福引券が3枚。
優姫に福引券を託されたしいかは、持ち前の運の良さを発揮した。
「おめでとうございます! 『東京異世界ランド』無料招待券です!」
こうして、太一達御一行は『東京異世界ランド』に行くこととなった。
ーー
誰もが手軽に異世界生活を満喫できる時代がやってきた。
異世界人になることができるテーマパーク『東京異世界ランド』。
連日、数万人が束の間の異世界生活のためにやって来る。
太一達御一行は、その入り口に立つ運命のガチャを回していた。
運命のガチャとは、衣装貸出用のガチャのことだ。
自前のコスプレ衣装を持たないゲストが回すことを義務付けられている。
東京異世界ランドでは、コスプレが大前提となっている。
だから、このようなサービスがあるのだ。
そして、1度衣装を身に纏ったなら、そのキャラクターに成り切らなくてはならない。
それがこのパークを満喫するための流儀なのだ。
例え、ホワイトチームとレッドチームという、敵、味方に別れたとしても。
東京異世界ランドでは、誰もが活躍を夢見ている。
アプリをダウンロードして腕時計型の端末を装備。
これだけでパーク内の行動が全て端末に記録される。
その記録に応じ閉園間際に行われるパレードに招待されるゲストが決められる。
パレードに参加したいゲストは皆、少しでも活躍して選ばれるのを待つのだ。
そして、本当の異世界に転移することができるという都市伝説まである。
そのパレードである条件を満たせばのはなしではあるが。
太一は勇者狙い、アイリスを除く6人はお姫様狙いだ。
現実に王女のアイリスだけは、村人Aという庶民の役柄を望んでいる。
優姫の交渉術も、この機械には通用しない。
全ては36分の1の確率に委ねられる。
ならばと、ガチャのハンドルを握るのは運が強いしいかの役目となったのだが……。
太一達御一行は、きれいに2つのチームに分かれた。
「うっ、牛さん……。」
「小悪魔なんか、私にできるかしら……。」
「ま、スライムやリザードマンよりはマシっしょ!」
「もう。だから持ち込みにしようって言ったのに!」
ホワイトチームのリーダーはミノタウロス型戦士のアイリス。
ダークエルフ型魔法使いのあゆみがサポート役を担うことに。
まことはホビット型白魔道士。しいかは小鬼型魔法戦士。
一方、レッドチームに配属されたのは、まりえ、優姫、あおい、そして太一。
「わーい! まりえはね、巫女型魔法戦士だって!」
「うっふふふふふ。私は俊敏な踊り子型戦士です」
「あっ、私はエルフ型魔法使い!」
「僧侶型白魔道士……。俺、これだけは嫌だった!」
勇者こそいないが、両チームともバランスはいい。
ある意味ではしいかの運の良さなのかもしれない。
こうして、太一達御一行の異世界生活が幕を開けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます