第二部 吾輩はネコである。名前はちび太。DESTINY
第89話 しょせきか
吾輩はネコである。
名前はちび太。
その日は何の変哲もない普通の平日だった。
「ただいま~ちび太。帰ったぞ~」
ご主人様はいつも通りに帰宅すると、お出迎えをした吾輩に新しいお水をくれる。
そして机に向かってパソコンを開いた。
発注と商品出しが主な仕事であるご主人様は、仕事中は私用のスマホを使うことができない。
なので主に帰ってからゆっくり座ってツイッターやメールをまとめてチェックするのが日課なのだ。
これも特に変わりのないご主人様のルーティーンだったのだが――、
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガタッ!
突然、ご主人様が騒々しく立ち上がった。
基本ビビりな吾輩は、大きな音に思わずビクリとしてしまう。
まったくご主人様ときたらいくつになっても落ち着きがないものよ、などと思いながら視線を向けてみると、
「嘘だろ……? 見間違いか……?」
ご主人様は立ったまま中腰になってぶつぶつ呟きながら、パソコンに表示されているメールの文面を何度も見返していた。
目が離せないといったようすで、吾輩の視線に気づく素振りはまったくと言っていい程ありはしない。
「マジか……新人賞の受賞メールが来てる。何度見返しても間違いない。俺が受賞してる……俺が、俺が新人賞を受賞してる。プロの小説家になれる……デビューできるんだ……」
どうやらそう言うことらしかった。
ついにご主人様の長年の夢がかなったのだ!!
「そうだ。ちび太、お前にも見せてやらないとな」
ご主人様は吾輩を抱っこするとパソコンの前に持っていく。
「どうだちび太、よーく見とくんだぞ。これが俺がプロになった証、最初の第一歩なんだからな」
ご主人様の声は感極まっていた。
完全に涙声になってしまっている。
「俺はずっと書籍化を目標にしてきた。そしてついにそれが叶った。でもここはゴールじゃないんだ。ここから俺の小説家としての新しい人生が始まるんだ。俺は今日この瞬間から、プロの小説家だ――」
第二部 ~完~
―――――――
応援ありがとうございました!
第二部はこの1話だけの超スーパーウルトラ特別仕様です!
というわけで、ついに小説家デビューが決定いたしました!
夢がかないました!
これからも頑張りますので変わらぬ応援よろしくお願い致します!
吾輩はネコである。名前はちび太。 マナシロカナタ✨2巻発売✨子犬を助けた~ @kanatan37
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