第82話 うどん

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「へー。ビニール袋に小麦粉と水入れて10分振ると、うどん生地ができるのか。これは異世界転生でネタとして使えるかもな……」


 NHKの人気長寿テレビを見ながら、ご主人様がなにやらふんふん頷いていた。


「やっぱ『ガッテン』は発想が突拍子もないというか、過程もオチもひたすら斜め上だからいいんだよな。想像力がビシバシ刺激されるし、直で流用できるネタも少なくない」


 一般的なテレビ番組を、しかしご主人様はいつも創作の観点を保ちながら視聴しているのだった。


 ご主人様は創作に対してとても貪欲なのである。


「でも現実世界だと、いちいちそんなしんどいことをするくらいなら、最初からうどんを買うかな……っていうか、そもそも料理をしないからうちには小麦粉がないしな……」

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