第79話 ゆうだち

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



 ポツ、ポツ――。


 夕刻、雨が降り始めた。


 夏の風物詩「ゆうだち」である。


 ポツポツは、すぐにザーザーと大粒の雨になって――。


「よっしゃ、ギリセーフ!」


 その直後、玄関の扉が開くとご主人様が帰宅した。


 どうやら本降りになる直前に帰って来ることができたようだ。


「いやータッチの差だったな。競馬だとビデオ判定だぞ? 今日の俺はちょっとラッキー? つまりこれは執筆もはかどる的な!?」


 たかだか雨に降られなかっただけでこの喜びよう。


 ご主人様は常にポジティブシンキングであるからして。


 そしてそんなご主人様に、


 すりーん


 吾輩は今日もすりすりをして、仕事の疲れを癒してあげるのだった。

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