第76話 すらんぷ

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「ちび太~~もふもふ~~」

「みゃーお」



「ちび太~~もふもふ~~」

「みゃーお」



「ちび太~~もふもふ~~」

「みゃーお」


 今日のご主人様は休日にもかかわらず、朝からずっと吾輩をモフってはベッドでゴロゴロしていた。


 普段なら日がな一日パソコンで執筆しているご主人様が、もう昼過ぎだというのに一度も書こうとしないのには理由があって――、


「うー、だめだ……アイデアがさっぱり出てこない……なんでだ? 昨日まではいくらでも展開を思いついたのに……まさか、これがスランプってやつなのか……?」


 というわけなのだった。


 「すらんぷ」のせいでにっちもさっちもいかなくなったご主人様は、吾輩をモフることで気分転換をし、「すらんぷ」から脱却しようと試みているのだ。


「ちゃんと気分転換はできてるんだけどな……でも後ちょっと何かが足りないんだよな……」


 ――がしかし、なかなか効果は上がらないようだった。


「医者が……スランプという病を克服してくれるドクターが必要だ……ドクタースランプちび太ちゃん……なんちゃって」


 ご主人様の病はかなり根が深そうだった。


 果たしてこの先どうなってしまうのか……?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る