第68話 くんしょう
吾輩はネコである。
名前はちび太。
がじがじがじがじ――!
げしげしげしげし――!
がじがじがじがじ――!
げしげしげしげし――!
がじがじがじがじ――!
げしげしげしげし――!
その日、吾輩は
お気に入りのご主人様のベッドの上で、タオルケットの端っこを両手でしっかとロックしながら――、
がじがじがじがじ――!
牙をたててはタオルケットをがじがじとかじり――、
げしげしげしげし――!
苛烈な連続猫キックをタオルケットにお見舞いする。
憐れ、タオルケットはズタボロである。
年に一、二度。
吾輩は本能の赴くまま猛りたくなるのだった。
がじがじがじがじ――!
げしげしげしげし――!
そんな吾輩を、ご主人様は特に気にするでもなく華麗にスルーしていた。
ご主人様ときたらすっかり慣れたもので、君子危うきに近寄らず。
いつも通りに執筆に勤しんでいるのだった。
もちろん慣れる前は、吾輩にいったい何があったのかと確認するべく構ってこよううとしたご主人様。
結果として、猛る吾輩の返り討ちにあい、その手に数多のひっかき傷を作ったものだった。
今でもご主人様の手には、よく見ると当時の傷の赤い痕がうっすらと残っている。
曰く、
「これは猫の飼い主にとっては思い出であり、そして勲章なんだ!」
まったく、吾輩のことを好きすぎるご主人様であることよ。
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