第54話 じーーーーー
吾輩はネコである。
名前はちび太。
「じーーーーーー」
「すっ…………ちらっ」
「じーーーーーー」
「すっ…………ちらっ」
「じーーーーーー」
「すっ…………ちらっ」
いつものようにベッドで毛づくろいしていた吾輩。
キーボードを打つ手が止まりふと振り返ったご主人様と、目と目があってしまったのだった。
「じーーーーー」っと見ているのが吾輩で、「すっ……」と目線を逸らすのがご主人様である。
目を逸らすのは、猫と目が合った飼い主の義務であるからして。
しかしご主人様はというと、目を逸らした振りをして何度もこっちを見ては、その度に吾輩と目が合ってしまい、いたずらが見つかった子供のようにばつが悪そうな顔でまた目を逸らすのだった。
「じーーーーーー」
「すっ…………ちらっ」
さらに何度か繰り返したのち。
吾輩はご主人様の視線をスルーして、こてんとベッドで丸くなったのだった。
視界の隅っこで、ご主人様がちょっとさみしそうにしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます