第38話 もふもふすたいる

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「だめだ、このままだと今日の更新が間に合わない……!」


 ご主人様がうんうんうなっていた。

 どうやら毎日更新しているWeb投稿小説の最新話が、まだできていないらしいのだ。


 時計を見ると時間は既に23時を過ぎている。


「くっ、日付が変わるまでもう1時間もない……このままでは落としてしまう! 本気でプロを目指す作家志望の俺としては、締め切りを守らないわけには絶対にいかないんだ……!」


 ご主人様の闘志がめらめらと燃え上がっていくのを、長年の付き合いである吾輩は十二分に感じ取っていた。


 ご主人様の心意気ときたら、それだけはもうプロも顔負けなのだから!


「ちび太、今から俺は修羅場モードに入るぞ……!」


 そう言うと、ご主人様は半分寝かけの吾輩をベッドから抱き上げた。

 吾輩はご主人様の膝の上にちょこんと鎮座する形で抱っこされる。


 これがご主人様の臨戦態勢、勝負スタイルだった。

 常にもふもふパワーを感じることで、気力充実するのだそうだ。


「行くぞちび太。俺は最新話を今日中に書き上げる、絶対にだ!」


 そしてモフモフパワーで極限集中状態に入ったご主人様は、わずか40分ほどで渾身の最新話を書き上げたのだった。

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