第46話 つめきり(いもうと8)

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



 パッチン、パッチン、パッチン、パッチン――。


 静かな部屋の中にこだまするパッチン音。


「えへへー、わたしとお兄ちゃんの初めての共同作業だね!」

「? 今まで何度も一緒にやっただろ?」


「あ、うん……そだね……」

「どうしたんだ、変なやつだな? ほら、前足終わったから、次は後ろ足を頼むぞ」


「はーい……」


 ご主人様と「いもうと」が何をやっていたかというと、


「やっぱちび太の爪きりは二人でやるとはかどるよなー」


 爪切りで、吾輩の伸びすぎた爪をパッチンパッチン切っていたのだった。


 ご主人様が吾輩を抱っこして、

「ほらちび太、2本目のちゅーるだぞー」


 「ちゅーる」で気を引きながら、その間に「いもうと」が爪切りでカットするという寸法だ。


「うん、そだねー……ぐすん、いつもちび太のことばっかりなんだもん……」

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