第23話 たぴおか

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「ふははははは! 見ろ、ちび太! 流行りのタピオカミルクティーを手に入れたぞ!」


 ご主人様が見せびらかすのは、ちょっとお洒落可愛いカップに入ったドリンクだった。

 タピオカの入ったお茶らしい。


「タピオカドリンクは今ブームでなかなか手に入らないんだ。お店に入荷しても1箱12個がものの1時間で完売、いまや本部からの配分制になってるからな」


 ……ご主人様は割とミーハー気質なのだった。


「それを俺がどうやって手に入れたかというと、つまりは入荷した瞬間に取り置きできる店員特権ってなわけだ!」


 言って、ご主人様はスマホをとり出した。

 カシャリと撮影をする。


「人気のタピオカミルクティーを手に入れました。これでタピタピオカオカします、と。ツイート!」


 そしていつものようにツイッターに画像をアップした。


「これでバズるまではいかなくても、少なくない反応があるだろ? そしたら中には俺のWeb投稿小説に興味を持ってくれる人が出てくるかもしれない。ちび太、これがプロの宣伝テクニックというものなんだ」


 もちろんこのツイートにも1件の「いいね」しかなく、ご主人様は吾輩を抱っこして今日もしょんぼりと床につくのだった。

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