第20話 えんたーきーをたーん!

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



 今日の吾輩は、朝からずっとご主人様の執筆活動を見守っていた。


 ――見守っていたというか。

 パソコンのキーがカタカタと軽妙に打ち込まれる音を子守唄に、むにゃむにゃと惰眠をむさぼっていた。


 猫とは基本、寝る生き物なのだ。

 「寝る子」と書いて「寝子」→「ねこ」という説もあるくらいなのだからして。


 閑話休題。


 時おり、


 ターン!


 小気味よく「えんたーきー」を強めに叩くのは、上手く書けたときのご主人様の癖だった。


 そのたびに吾輩はピクッと耳を震わせる。


 今日はその回数がいつもより多く、吾輩の耳もいつもより多くピクッとするのだった。


 本日のご主人様は、なかなかに筆が進んでいるご様子だった。

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