第9話 えくスイカりばー

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「スイカバーをナイフで削って……と。赤いところが刃で、皮のところがつばだ……オッケー完成!」


 ご主人様が帰宅してからずっと、晩御飯も食べずに一心不乱に何をしていたかというと――。


 スイカバーなるアイスをナイフで削ってを、剣の形にしていたのだった。


「スイカバーのエクスカリバーでエクスイカリバーだ! やっべ、俺これ天才じゃね? もはやこのツイートがバズるのは確定的に明らかだ!」


 いつもこうやって、ご主人様はなにかを思いつくたびに、楽しそうにやってみるのだった。

 世間でいうところの「ノリが小学生」というやつである。


 そしてその後。


 「いいね」×1。


 バズるどころかまったく反応がなくて意気消沈して布団にもぐったご主人様の、しょんぼりな腕の中に入っていって。

 腕の中でそっと丸まって慰めてあげるのも、酸いも甘いも一緒に噛み分けてきた吾輩の務めなのだった。

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