お姉ちゃんに女装させれた。今は喜んで女装しています
月神月
第1話 1年前
「う~んこっちの方が可愛いかな?」
マネキンが着ている二種類のコーディネートを見比べて唸っている茶髪ボブカットでボーイッシュな見た目の美少女が居た。その少女をチラチラと見ている通行人もいる。通行人が見ている理由はその少女が有名人だからだ。その少女は声優として有名な少女だった。
この少女実は男だったりする。見た目美少女、声も少女のものでこの少女が男とは到底思えない。しかしこの少女は正真正銘男なのだ。まぁ"女装している"という但し書きが付くのだが。
そして
ああ、それから
まだ高校1年生になってから1ヶ月も経っていないのである。鈴音が女装することになった理由は約1年前に遡る。
~1年前~
鈴音はとあるコスプレイベントに参加する為にコスプレ仲間と一緒に会場に来ていた。鈴音はとあるアニメの女キャラで参加していた。結構仲間達からの評判はいいのだ。
元々女顔の鈴音は女キャラのコスプレをしても似合っていたので過去にも度々女キャラのコスプレで参加していたので今回も女キャラのコスプレで参加したのである。コスプレが男キャラであっても女キャラであってもコスプレするのが鈴音である。
それからイベントは順調に進んで行ったが主催者側はバタバタしていた。
「
「
「今日のイベントは家族向けだから子供達が居るんだぞ!」
「で、ですが変わりの人なんか居ませんよ?」
主催者側は
来てほしいキャラが来なかったら子供達が騒ぎだしてイベントが失敗に終わってしまう。失敗させるわけにはいかないのだ。
「如何すればいいのだ!」
その時聴こえてきた声があった。その声に一緒に来ていた声優の
白亜夏奈は苗字から分かると思うが鈴音の姉である。この時はまだ夏奈このレイヤーが鈴音であることはわかっていない。
その声はとても似ていて顔は少し違うがコスプレをしているからアニメから出てきたかのようだった。夏奈が鈴音に近づいている時に気が付いたことがあったみたい。
「あれ?もしかして鈴音?でもあの子は女の子だし……?」
夏奈は疑問に思っていたみたいだけどそのまま鈴音に近づいて行ってその腕を掴んだ。
「あなたちょっと来てくれる?」
「え?ちょ、なんですか!誰ですか!?」
鈴音が何か言っているが夏奈は聞かなかったことにして腕を引っ張って特設ステージ裏に鈴音を連れて行った。鈴音と一緒に居たコスプレ仲間は行き成り現れて鈴音を連れてかれたことから唖然としていた。
ステージ裏に連れてかれた鈴音は何が何だか分からなかった。だが主催者が何故鈴音がここに連れてこられた理由を説明していた。鈴音が聞いた説明は黒崎夏蓮が重体に捕まってしまってこの会場に来れないから困っていたこと。鈴音の声真似が聞こえてきてとても似ているから代わりに喋って欲しいと説明とお願いされた。勿論夏奈にもお願いされてその時に鈴音は夏奈が自分の姉であると気づいたようだ。
「夏奈さん。少し話したいことがあるんですけど。それを聞いてからボクにお願いするか考えたほうがいいと思います」
鈴音の言ってることが夏奈には分からなかった。だけどもしかしたら協力してくれるかもしれないから話を聞くことにして場所を変えた。移動してくると早速鈴音が話始めた。
「ねえ夏奈さん。あなたはボクの事知ってるはずなんだけど気づかなかった?」
夏奈はそう言われても何も分かることがなかったので「何を言ってるの」と言おうとした時に鈴音が話始めた。
「ボクだよ。白亜鈴音だよ」
「え!?」
夏奈は驚いたけど鈴音は楽しそうに笑っていた。夏奈からは鈴音に見えないみたいだ。普通は名前だけ言われても信じれない筈だが鈴音が自分の事を言う時に地声に戻したから気が付いたのだ。
「やっぱり鈴音だったんだ。それに良く声似てるね」
「やっぱり?もしかして気づかれてたの?まぁそんな事より声が似てるのは頑張ったからだよ。とあるキャラの声で違うアニメのセリフが聞きたくてないなら自分で頑張ろうと思って練習したんだ。今ではどんな声でも出せるようになってきたよ」
「どんな声でも!?」
夏奈が驚いて声を出したことに鈴音が頷いて肯定した。それから鈴音は色々な声を出して証明していた。鈴音が言うに声を変える為には男の声か女の声を周波数で変えて後は声を変えようと思いながら喋れば声が変わるという。だが夏奈が出来なかった。恐らく周波数を変えれば声が変わるので無意識に周波数を変えているんではないかと夏奈は思ったが口には出さない。
それから鈴音は主催者のお願いを受けて夏奈と一緒にステージで話したらキャラの真似したりした。後から聞いた話だと鈴音のコスプレ仲間はステージに鈴音が急に現れて驚いたらしい。流石に沢山鈴音のコスプレ姿を見ていたからステージに出てきたのが鈴音だと気が付いたらしい。
「ありがとー!それより君は誰?声優やってるの?!」
イベントが終了してステージから降りてくるとステージ裏に来ていた黒崎夏蓮
がに抱き着かれながら質問して少し興奮しているようだった。それを見ていた夏奈は夏蓮を鈴音から離して鈴音の紹介を始めた。
「この子、こんな格好してるけど男だよ?それから私の弟だから。それにまだ中学生だから仕事なんてしてないよ」
「え!?男の子なの?それに弟!?」
「まぁコスプレですから」
鈴音は地声でそう言った。夏蓮は驚いていた。まぁ当たり前だ。それからそれぞれ自己紹介をして鈴音の姿は夏奈のスマホの中に入っていた写真を見せていた。
「鈴音ちゃん!声優やらない?」
「え?ボクが声優?無理ですよボクはお姉ちゃんみたいに演技出来ませんから」
「いいんじゃない?声優やっても。私たちが事務所に紹介するよ」
そう言って鈴音が断ろうとしたが姉の夏奈が鈴音に声優をやらせようとした。鈴音は驚いて夏奈を見た。まさか夏奈に出来ないって言われると思っていたからとても驚いていた。今決めれなかった鈴音は今日は帰ることにした。
あのイベントから少し経って夏奈が鈴音の部屋に入って来て女装させられた。
「あの、お姉ちゃん何でボクは女装してるのかな?ボクにそんな趣味は無いんだけど?」
「まぁいいから私に付いてきてね~」
そう言って鈴音を部屋から引っ張って出して家の外まで連れ出された。外に出ると家の前に車が止められていた。でも夏奈は特に気にすることもなく車に向かって歩いて行く。夏奈は車の目の前で止まるとそのまま後部座席のドアを開けて中に連れこまれた。
「お姉ちゃんこの車は何!?」
「まぁ落ち着いて鈴音ちゃん」
鈴音が夏奈を問いただそうとしたら誰かから声を掛けられた。その声は聞いたことのある声だった。
「夏蓮さん?何でこの車に夏蓮さんが?」
「そりゃあこの車は私の車だからね」
「そうですか。でも何でボクはこの車の中にいるんでしょうか?」
「着けば分かるよ」
鈴音は夏蓮と話してたから気が付かなかったが車は走っていた。鈴音には何処に向かっているのかは分からなかったが。暫くすると車が建物に入ったのか暗くなった。車が止まると夏奈が外に鈴音を出した。
「ここは何処?」
「ここは私たちが所属している事務所だよ」
「事務所にボクを連れて何しに来たのさ」
鈴音がそう聞いたが夏奈は答えなかった。それから鈴音は2人に捕まって何処かに連れてかられた。連れてかれたところは社長室だった。
「やぁ。君が鈴音君だね?君でいいんだよね?もしかしてちゃんだった!?」
「大丈夫ですよ社長。今は女装してるだけですから」
「いや!ボクが自分でしたんじゃなくてお姉ちゃんが女装させたんだしょ!」
鈴音が言ったことで社長は状況を掴んだようだ。そして鈴音は何で呼ばれたか分かってないことも社長ほ理解していた。
「今日君に来てもらったのは君に声優になってもらおうと思ってね」
「でも ボクは声優を出来るだけの演技力なんてないですよ?」
「大丈夫だよ。やってみる気はない?でも有名になってくると街とかで声かけられると面倒くさいんじゃないですか?」
「そこは大丈夫じゃないかな?今している女装の姿を声優としての姿にすれば日常生活で声を掛けられないよ。それでも嫌?」
それから暫く話して鈴音は声優をすることにした。
それが鈴音が声優になって女装することになったきっかけ。
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