第2話

まず彼は工兵として教育を受けた。味方を援護し敵を妨害する戦場の土建屋。


その中でも彼は道路の開設および破壊を主たる任務とする第364工兵隊に配属された。都心の部隊が引き受けた面倒事を片端から押し付けられる地方部隊で、訓練と雑務を同時にこなすことから激務中隊と呼ばれていた。


しかし彼はその中隊を希望して配属された。自衛隊に入った時点で楽ができるとは思っていなかったし、なにより彼の地元から最も近い工兵隊だったから。


いざという時に、地元の役に立ちたかった。それだけの理由で他は何も考えなかった。


愚直。そう表現するのが適切な人間だった。少なくともこの時はまだ。

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